研究課題/領域番号 |
22K18972
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研究種目 |
挑戦的研究(萌芽)
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
中区分29:応用物理物性およびその関連分野
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研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
田中 秀和 大阪大学, 産業科学研究所, 教授 (80294130)
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研究期間 (年度) |
2022-06-30 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2023年度)
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配分額 *注記 |
6,500千円 (直接経費: 5,000千円、間接経費: 1,500千円)
2023年度: 2,860千円 (直接経費: 2,200千円、間接経費: 660千円)
2022年度: 3,640千円 (直接経費: 2,800千円、間接経費: 840千円)
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キーワード | 遷移金属酸化物 / 2次元層状物質 / 六方晶窒化ホウ素 / 金属-絶縁体相転移 / 酸化バナジウム / 薄膜結晶成長 / パルスレーザ蒸着法 |
研究開始時の研究の概要 |
遷移金属酸化物は金属-絶縁体相転移、強磁性、超伝導性など多彩な物性を示し、種々の新奇デバイス応用が期待されている。その表面に非常に弱いファンデルワールス結合のみ存在する2次元層状物質は、結晶構造・格子定数の違いによらず薄膜結晶成長が可能となる【ユニバーサル基板】となりうることを実証し、フレキシブルデバイス応用の可能性を示す。具体的には、六方晶窒化ホウ素上へのパルスレーザ蒸着法による遷移金属薄膜結晶の成長と物性評価、透過型電子顕微鏡による断面界面格子像の観察、第一原理計算による界面電子状態のシミュレーション、フレキシブルデバイス材料としてのデモンストレーションを行う。
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研究実績の概要 |
遷移金属酸化物は金属-絶縁体相転移、強磁性、超伝導性など多彩な物性を示し、トランジスタ・センサー素子といった種々のデバイス応用が期待されている。しかしその成長基板は格子整合性が良いセラミックス材料に限定され、遷移金属酸化物の結晶成長の自由度を広げる上で大きな問題となっている。その表面に非常に弱いファンデルワールス結合のみ存在する2次元層状物質は、結晶構造・格子定数の違いによらず薄膜結晶成長が可能となる【ユニバーサル基板】となりうることを提案する。2次元層状物質として、特に遷移金属酸化物薄膜結晶 成長条件である高酸素雰囲気、高温条件においても化学的に安定である観点から六方晶窒化ホウ素を選定し、パルスレーザ蒸着法により、それぞれVO2:正方晶ルチル構造、Fe3O4:立方晶スピネル構造、SmNiO3:直方晶ペロブスカイト構造の異なる3つの遷移金属酸化物薄膜を成長させ、X線晶構造解析により薄膜結晶構造を確認するとともに、フォトリソグラフィーにより電極を付与し、電気伝導測定を評価した。 VO2 、Fe3O4、SmNiO3は優先配向結晶成長し、かつバルク材料に近い優れた機能物性(電気伝導、相転移)を示すことを見出した。またVO2薄膜をCVD成長hBN薄膜状へ成長させ、このヘテロ積層薄膜をTEMグリッド上へ剥離転写し、透過型電子顕微鏡を用いた平面原子像観察により、hBNとVO2が面内でエピタキシャル関係にあることを示唆する結果を得た。その上で、神戸大小野グループとの共同研究によるVO2/hBN界面安定構造の第一原理計算により、VO2とhBNの間で一部のV+イオンとB-イオンが(おそらく)イオン結合で公倍数エピタキシー的にピンされ、その他の界面接合部分は弱い ファンデルワールス結合を有している新たな界面モデルを提案した。
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