研究課題/領域番号 |
22K18981
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研究種目 |
挑戦的研究(萌芽)
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
中区分30:応用物理工学およびその関連分野
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研究機関 | 千葉大学 |
研究代表者 |
尾松 孝茂 千葉大学, 大学院工学研究院, 教授 (30241938)
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研究期間 (年度) |
2022-06-30 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
6,500千円 (直接経費: 5,000千円、間接経費: 1,500千円)
2023年度: 3,900千円 (直接経費: 3,000千円、間接経費: 900千円)
2022年度: 2,600千円 (直接経費: 2,000千円、間接経費: 600千円)
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キーワード | 光渦 / 軌道角運動量 / 特異点光学 / キラル秩序 / 光重合 / 光物性物理学 / 光マニピュレーション |
研究開始時の研究の概要 |
研究代表者は「光渦を物質(金属・半導体・有機薄膜など)に照射すると物質表面でキラルな質量移動が起こり、物質表面にサブミクロンスケールの螺旋構造ができること」を発見した。現象の発見からすでに10年近くの年月が経過し、この間、国内外(日本、ロシア、カナダ、スペインなど)で数多くの研究がなされてきた。しかしながら、光渦による螺旋構造に関する事例のすべてが、未だ物質表面あるいは物質同士の界面に限定されている。 本研究は、「なぜ物質内部に螺旋構造ができないのだろうか?」という学術的な問いを解明を解明し、3次元螺旋構造、すなわち、メタ螺旋構造を光渦照射だけで創成することに挑戦する。
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研究実績の概要 |
キラリティー(物質の立体構造がその鏡像と空間的に重ならない性質)は物質科学における普遍的テーマである。広く存在する螺旋はキラリティーを持つ構造(秩序)の一つである。光渦とは、螺旋波面に由来する軌道角運動量と螺旋波面の向きで決まるキラリティーを持つ光である。光渦の軌道角運動量の大きさは1波長あたりの波面の捩じれ回数で定義され、原理的には、次数ℓは無限に大きな値にできる。 「光渦を物質(金属・半導体・有機薄膜など)に照射すると軌道角運動量が作用してキラルな質量移動が起こり、物質表面にサブミクロンスケールの螺旋構造ができること」を研究代表者は世界で初めて発見した。 光渦の軌道角運動量が誘導する光力学的効果である「光渦を物質に照射すると物質表面に螺旋構造ができる」という現象を利用すれば、あらゆる物質の表面を室温大気雰囲気中で螺旋構造に加工できる。しかしながら、これまでの螺旋構造に関する事例のすべては、物質表面あるいは物質同士の界面に限定されている。また、3次元加工の標準光源であるフェムト秒レーザーのようにパルス幅がピコ秒より短くなると、螺旋構造そのものができない。したがって、現象が発見されてから10年近く経過するにもかかわらず、物質内部に光渦による3次元的なキラル構造を形成した事例はない。 学理の解明と応用展開に向けて、光渦が誘導する螺旋ファイバーに注目し、その内部構造を定量的に評価した。一光子吸収過程で形成された螺旋ファイバーにガウスビームを入射すると、螺旋ファイバーの内部構造を反映して、光渦モードが発生することを明らかにした。この事実は光渦による物質の内部改質を明確に示唆するものである。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
光渦が誘導する螺旋ファイバーに注目し、その内部構造を定量的に評価した。一光子吸収過程で形成された螺旋ファイバーにガウスビームを入射すると、螺旋ファイバーの内部構造を反映して、光渦モードが発生することを明らかにした。この事実は光渦による物質の内部改質を明確に示唆するものであり、世界で初めての研究成果である。
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今後の研究の推進方策 |
一光子吸収と二光子吸収で形成された螺旋ファイバーの比較を行うとともに、内部構造の直接観測に着手する。
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