研究課題/領域番号 |
22K18998
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研究種目 |
挑戦的研究(萌芽)
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
中区分31:原子力工学、地球資源工学、エネルギー学およびその関連分野
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研究機関 | 九州大学 |
研究代表者 |
笹木 圭子 九州大学, 工学研究院, 教授 (30311525)
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研究期間 (年度) |
2022-06-30 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2023年度)
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配分額 *注記 |
6,370千円 (直接経費: 4,900千円、間接経費: 1,470千円)
2023年度: 2,730千円 (直接経費: 2,100千円、間接経費: 630千円)
2022年度: 3,640千円 (直接経費: 2,800千円、間接経費: 840千円)
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キーワード | 粘土鉱物 / 鉄 / 光触媒 / 異元素ドープ / ジオミメティクス / Fe(III)イオン / 太陽光 / 鉄イオン / 二酸化チタン / 光触媒複合体 / DFT計算 |
研究開始時の研究の概要 |
天然鉱物資源として比較的存在量が多く、紫外光応答型光触媒であるアナターゼ(TiO2)と粘土鉱物の組み合わせにより、より低いエネルギーの可視光応答型光触媒複合体を合成する。粘土鉱物もTiO2もFe3+をよく吸着すると考えられ、ここではFe3+の局在性による触媒活性の変化について実験およびDFT計算によって明らかにする。対象とする光触媒反応はカーボンニュートラルの要となる糖から酸への分解とし、CO2ゼロエミッションにも貢献する。
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研究成果の概要 |
地球表層環境で天然鉱物が光触媒の機能を担って、物質変換を加速する反応を起こすときの第二鉄イオンの役割の理解を目指した。粘土鉱物とTiO2の光触媒複合体において、第二鉄イオンの局在性によって、光触媒活性への影響をみた。フェノールの分解、Cr(VI)の還元無害化、グルコースの分解による乳酸の生成をモデルとした。いずれも第二鉄イオンが粘土鉱物側に局在する場合に光触媒活性はより高くなった。本来不導体である粘土鉱物は、第二鉄イオンの置換型イオン交換によって電子トラップ準位が生じ、光電子励起が起きやすくなり、TiO2との接合により、励起電子はTiO2側の軌道を使い、粘土鉱物内での再結合を妨げるようになる。
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研究成果の学術的意義や社会的意義 |
系統的に鉄担持TiO2@Mt光触媒複合体の光応答性を調べたことにより、光化学反応における粘土鉱物の役割について理解をより深め、自然界にある鉱物集合体が太陽光を受けてスイッチが入る光触媒反応の可能性を広げた。さらに、本来材料ではない鉱物を環境材料として活用する視点が生まれる。自然界における普遍的な鉱物同士の複合体に対して、置換や吸着によって不純物として紛れ込む遷移金属Feの局在性が光触媒活性に与える影響に焦点を当てることは、自然界における有機物分解機構に新しい解釈を与える地球化学的意義に加え、「資源」に最小限の手を加えて「素材」とするジオミメティクスによる新環境材料学にも光を照らす。
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