研究課題/領域番号 |
22K19000
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研究種目 |
挑戦的研究(萌芽)
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
中区分31:原子力工学、地球資源工学、エネルギー学およびその関連分野
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研究機関 | 佐賀大学 |
研究代表者 |
田中 徹 佐賀大学, 理工学部, 教授 (20325591)
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研究期間 (年度) |
2022-06-30 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
6,370千円 (直接経費: 4,900千円、間接経費: 1,470千円)
2024年度: 2,080千円 (直接経費: 1,600千円、間接経費: 480千円)
2023年度: 2,210千円 (直接経費: 1,700千円、間接経費: 510千円)
2022年度: 2,080千円 (直接経費: 1,600千円、間接経費: 480千円)
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キーワード | 高不整合材料 / 人工光合成 / マルチバンドギャップ半導体 / 太陽光水素生成 |
研究開始時の研究の概要 |
無尽蔵な太陽光と水を利用して貯蔵可能な水素を生成する人工光合成は,次世代エネルギー創製技術として期待されている。本研究では,従来の半導体混晶と異なるユニークなバンドエンジニアリングによりマルチバンドギャップを生成可能な高不整合半導体材料に着目し,赤外から可視,紫外までの光を吸収可能とする新しいフルスペクトル光触媒を開拓することを目的とする。
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研究実績の概要 |
無尽蔵な太陽光と水を利用して貯蔵可能な水素を生成する人工光合成は,次世代エネルギー創製技術として期待されている。しかしながら,頻繁に使用されている酸化物半導体の多くはバンドギャップが大きいことから,太陽光に5%程度しか含まれない紫外線によってのみ水素生成が可能となっているため,変換効率が低いことが問題である。効率向上のためには,より長波長光の吸収により反応を効率良く起こすことができる材料開発が重要な課題の一つである。 本研究では,従来の半導体混晶と異なるユニークなバンドエンジニアリングによりマルチバンドギャップを生成可能な高不整合半導体材料に着目し,その電子物性制御により中間バンドを介した二段階光吸収を効率よく実現することで,赤外から可視,紫外までの光を吸収可能とするこれまでにない新しいフルスペクトル光触媒を開拓することを目的としている。2023年度は以下の研究を実施した。 (1) 前年度の結果を踏まえ,ZnTeブロック層を有するZnTeO光電極構造において,p型側であるZnTeO/ZnTeに対するn型ヘテロ窓層材料の検討を行った。n型材料としてn-ZnS, n-ZnOを用い,分子線エピタキシー装置内で連続的に成長を行った後,諸特性を比較した。その結果,光電流,オンセット電位など光電気化学特性はn-ZnSが優れているが,二段階光吸収特性はn-ZnOが優れていることが明らかとなり,両者の違いはZnTeとの伝導帯オフセットの差に起因するものと推測された。今後,より詳細を明らかにする必要がある。 (2) n型窓層候補であるZnNiO薄膜を分子線エピタキシーにより成長し,評価を行った。ウルツ鉱構造から岩塩構造への相転移が生じる組成や,それに伴うバンドギャップの変化を明らかにした。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
各項目ともに研究計画に沿っておおむね順調に研究を進めてきている。
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今後の研究の推進方策 |
2023年度に得られた結果をもとに,以下のように研究を進める。 (1) ZnTeO光電極における二段階光吸収電流の向上のため,電気特性の温度依存性の評価を行うことで,電流生成のメカニズムを明らかにする。 (2) 中間バンドに対するブロック層の材料とその膜厚が二段階光吸収電流特性に与える影響を明らかにし,最適な光電極構造について検討を行う。 (3) (2)で作製した試料を用いて,水素発生に関する実験を行い,定量的評価を行う。
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