研究課題/領域番号 |
22K19012
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研究種目 |
挑戦的研究(萌芽)
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
中区分32:物理化学、機能物性化学およびその関連分野
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研究機関 | 東京理科大学 |
研究代表者 |
根岸 雄一 東京理科大学, 理学部第一部応用化学科, 教授 (20332182)
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研究期間 (年度) |
2022-06-30 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
6,370千円 (直接経費: 4,900千円、間接経費: 1,470千円)
2023年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2022年度: 4,940千円 (直接経費: 3,800千円、間接経費: 1,140千円)
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キーワード | 金属クラスター / 光刺激応答 / スルホネート / 銀 |
研究開始時の研究の概要 |
新たに見いだした光制御技術とこれまでの研究にて確立した1)と2)の技術を組み合わせることで、金属クラスター連結体結晶を、「望みの位置」に、「望みのサイズ」にて配置する技術を確立する。それにより、従来研究では成し得なかった分野における金属クラスターの応用を可能にするとともに、ナノテクノロジーの向上、ひいては持続可能な社会の実現にも貢献し得ることを目指す。
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研究実績の概要 |
光により、配位子合成を制御することで、金属クラスターの合成を制御することを目指した。金属コアの基盤元素としては、発光特性に着目し、銀(Ag)を選んだ。Agは、チオラート(RS)やスルフォネート(RSO3)30などの配位子と結合性が良いことが知られている。これらの配位子の中で、RSO3-は、銅(Cu)の2価イオンとRSHから合成することができ、またその反応においては光が必要となる。そこで、本研究では、光によりRSO3-の合成を制御することで、Agを基盤元素とする合金クラスターの合成制御に取り組んだ。実験では、まずAg塩とCu塩をアセトンとアセトニトリルからなる混合溶媒に溶解させた。この溶液に、蛍光灯照射下にて、tert-butylthiol(tBuSH)を加えた。こうした条件下では、次の反応が並行して生じると予想される;1)tBuSHもしくは光による金属塩の還元とそれによる合金クラスターの形成; 2)RSO3-の生成; 3)合金クラスター表面へのtBuSとRSO3の配位。こうした反応と並行して、溶媒を少しずつ蒸発させることにより、生成した合金クラスターの結晶化も促進させた(slow evaporation method)。蛍光灯での一週間の光照射後、溶液中に赤色結晶が析出した。単結晶X線構造解析より、主生成物は、Ag54S15(tBuS)20(tBuSO3)12の化学組成を有していることが分かった。このことは、生成物には、RSO3が配位子として含まれていることを示している。こうして得られた生成物には、tBuSとtBuSO3以外に、tBuSHより生成したと推測されるスルフォネート(S)も含まれていた。これらの元素及び配位子の含有は、エレクトロスプレーイオン化質量分析、X線光電子分光、赤外吸収分光、及び核磁気共鳴分光からも確認された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
期待通り、光により新たな金属クラスターを合成することに成功したため、順調に進展していると判断した。
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今後の研究の推進方策 |
得られた金属クラスター結晶の電気伝導性と発光特性を解明する。電気伝導性は、超高真空クライオ四探針電気伝導測定技術と粒界・ドメイン界による電子散乱を抑制可能な電極アレー作製技術を駆使することで明らかにする。こうした方法を用いると、伝導機構を明らかにすることも可能である。発光特性に関しては、各温度での量子収率と蛍光寿命を中心に解明に取り組む。この測定に際しては、既に共同研究を開始している、リヨン触媒環境研究所・Aude Demmesence博士(研究協力者)の協力を受ける。得られた結果をもとに、望みの電気伝導性もしくは/及び発光特性を有する金属NCs結晶を得る手段を確立する。
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