研究課題/領域番号 |
22K19014
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研究種目 |
挑戦的研究(萌芽)
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
中区分32:物理化学、機能物性化学およびその関連分野
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研究機関 | 大学共同利用機関法人高エネルギー加速器研究機構 |
研究代表者 |
雨宮 健太 大学共同利用機関法人高エネルギー加速器研究機構, 物質構造科学研究所, 教授 (80313196)
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研究分担者 |
阪田 薫穂 大学共同利用機関法人高エネルギー加速器研究機構, 物質構造科学研究所, 特任准教授 (80514215)
鈴木 真粧子 (酒巻) 群馬大学, 大学院理工学府, 准教授 (90598880)
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研究期間 (年度) |
2022-06-30 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
6,370千円 (直接経費: 4,900千円、間接経費: 1,470千円)
2024年度: 650千円 (直接経費: 500千円、間接経費: 150千円)
2023年度: 2,080千円 (直接経費: 1,600千円、間接経費: 480千円)
2022年度: 3,640千円 (直接経費: 2,800千円、間接経費: 840千円)
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キーワード | 広域X線吸収微細構造 / 蛍光X線選別 / 軟X線 / 軽元素 / 蛍光選別EXAFS / 局所構造解析 / 回折格子 |
研究開始時の研究の概要 |
申請者らが開発した,回折格子を用いて個々の元素の蛍光軟X線を選別する手法を広域X線吸収微細構造(EXAFS)測定に応用し,ホウ素,窒素,酸素などの軽元素に対する局所構造決定を実現する。開発した手法を,燃料電池における触媒として注目されている窒素ドープグラフェンや,水分解光触媒として有望な軽元素ドープ酸化チタンなどに適用し,添加元素周辺の局所構造から反応機構を解明することで,触媒の高効率化に向けた指針を得る。
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研究実績の概要 |
吸収端が軟X線領域に含まれる軽元素(炭素,窒素,酸素など)に対する広域X線吸収微細構造(EXAFS)において,異なる元素の吸収端が互いに近接しているために広いエネルギー範囲にわたる吸収スペクトルを測定することができないという原理的な問題を解決するために,軟X線の吸収量に比例して放出される蛍光軟X線を,平面結像型回折格子によって軟X線CCDカメラ上に波長分散させる(異なる波長の蛍光軟X線を異なる位置に集光する)ことで,それぞれの元素からの蛍光軟X線を選別し,元素ごとの吸収スペクトルを取得するシステムを構築した。 構築したシステムを高エネルギー加速器研究機構・物質構造科学研究所・放射光実験施設(PF)の軟X線ビームライン(BL-16A)に設置し,NiおよびAu上に成膜したCr2O3薄膜試料に対して,分光器で単色化した軟X線を照射し,500-1000 eVにわたる広いエネルギー範囲を掃引して酸素K吸収端EXAFS測定を行った。蛍光選別システムの軟X線CCDカメラ上において,酸素,Cr,Niからの蛍光X線が別々の位置に結像されることが確認され,酸素の蛍光X線の強度を入射軟X線の光子エネルギーに対してプロットすることによって,Cr存在下でもEXAFSスペクトルが測定できることを実証した。特に,Ni上に成膜した場合,中でNi基板からの強い吸収が重なることによって通常は測定が不可能だが,本手法を用いることで酸素からのシグナルだけを選別することができ,酸素のK吸収端EXAFSを測定することができた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
平面結像型の回折格子を用いて蛍光X線を選別し,対象となる元素からの蛍光X線だけを取り込むシステムを用いることによって,CrやNiといった妨害元素がある中でもEXAFSスペクトルが得られることを実証できたため。
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今後の研究の推進方策 |
これまでに開発したシステムは,EXAFS測定エネルギー範囲内に,他の元素の吸収端が存在する場合に,絶大な威力を発揮する。特に,軽元素になるほど互いの吸収端が近いため,本手法を用いる効果が大きくなる。そこで今後,低エネルギー用の回折格子を導入することによって,これまで全く例のないLiのEXAFS測定に挑戦する。また,すでに測定したCr3O3薄膜のEXAFSを定量的に解析し,薄膜の構造を明らかにする。
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