研究課題/領域番号 |
22K19016
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研究種目 |
挑戦的研究(萌芽)
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
中区分33:有機化学およびその関連分野
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研究機関 | 北海道大学 |
研究代表者 |
清水 洋平 北海道大学, 理学研究院, 准教授 (60609816)
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研究期間 (年度) |
2022-06-30 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
6,500千円 (直接経費: 5,000千円、間接経費: 1,500千円)
2023年度: 3,250千円 (直接経費: 2,500千円、間接経費: 750千円)
2022年度: 3,250千円 (直接経費: 2,500千円、間接経費: 750千円)
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キーワード | ラジカル / ホスフィン触媒 / アミノ化 / C-H変換反応 / 触媒 / 有機合成 |
研究開始時の研究の概要 |
本研究は、ラジカルという反応性が非常に高い活性種を触媒によって制御し、生物活性物質等の機能性分子合成の発展に寄与することを目的としている。可視光をクリーンなエネルギー源としたラジカル発生法を基礎として、ここに触媒としてリン化合物やピリジン型化合物等を添加することで、ラジカルの反応性を制御する。不活性C(sp3)-H結合の位置選択的変換反応や、炭素-炭素不飽和結合への立体選択的付加反応をモデル反応として、触媒の探索と最適化を推し進める。
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研究実績の概要 |
塩素ラジカルとホスフィン触媒の相互作用を活用したC-Hアミノ化反応について検討を行った。可視光領域に吸収帯を持つ塩化セリウム触媒を用いることで触媒的に塩素ラジカルを生成する反応条件を採用し、ホスフィン触媒およびアミノ化剤の探索を行った。その結果、アゾジカルボン酸エステルをアミノ化剤として用いた際にC-Hアミノ化が進行し、ホスフィン触媒の構造や電子的効果によってC-Hアミノ化の位置選択性が変化することが明らかとなった。とりわけビアリール骨格を有するホスフィン触媒が良好な結果を示しており、ホスフィン触媒の立体的な影響があるのではないかと考えられる。また、溶媒効果も顕著であり、ハロゲン系溶媒が効果的である。これらの結果は、高反応性の塩素ラジカルをホスフィン触媒の作用によって制御したものだと考えられる。 また、上記のC-Hアミノ化反応を検討する中で、塩素ラジカルを必要としない新たなC-Hアミノ化反応を見出した。ホスフィンを触媒として、塩基性条件下、アミノ化剤と基質を0℃~室温条件で撹拌することによって位置選択的に反応が進行する。いくつかのホスフィン触媒を検討したところ、本反応においてもその構造や電子的効果が反応の効率に大きく影響することがわかった。現段階では、再現性に問題が残っているものの、テトラヒドロキノリンを基質としたモデル反応で、最高90%収率程度で目的物が得られる。また、この触媒条件をいくつかの基質に適用したところ、ピリジン部位を持つ基質で特異的に反応が進行した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
塩素ラジカルとホスフィン触媒の組み合わせによって位置選択性を制御する手がかりを得ており、詳細な検討を実施するための準備が整っている。また、予期しなかった触媒系を見出しており、発展が期待できる。
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今後の研究の推進方策 |
1年目に見出した塩素ラジカルとホスフィン触媒による位置選択的アミノ化反応の収率向上を目指す。良好な傾向を示したビアリール骨格を有するホスフィン触媒を詳細に検討し、反応性の向上につながる要因を探索する。また、温度、濃度、当量関係などの条件についても検討し、最適条件を見出す。 一方、新たに見出した塩素ラジカルを必要としないアミノ化反応については、反応機構の解明に取り組む。そのためにNMR実験やReactIRによる反応追跡などを実施して、知見を蓄積する。
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