研究課題/領域番号 |
22K19020
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研究種目 |
挑戦的研究(萌芽)
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
中区分33:有機化学およびその関連分野
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研究機関 | 国立研究開発法人産業技術総合研究所 |
研究代表者 |
宮村 浩之 国立研究開発法人産業技術総合研究所, 材料・化学領域, 主任研究員 (00548943)
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研究期間 (年度) |
2022-06-30 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
6,500千円 (直接経費: 5,000千円、間接経費: 1,500千円)
2024年度: 1,950千円 (直接経費: 1,500千円、間接経費: 450千円)
2023年度: 1,950千円 (直接経費: 1,500千円、間接経費: 450千円)
2022年度: 2,600千円 (直接経費: 2,000千円、間接経費: 600千円)
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キーワード | 金属ナノ粒子 / 不均一系触媒 / 超分子錯体 / 触媒的有機合成 / 超構造体 / 酸素酸化反応 |
研究開始時の研究の概要 |
本研究では、高分子担体内で、粒径を自在に制御可能かつ、その分散度が均一な、金属ナノ粒子の生成手法の開発を行う。高分子に固定化した超分子錯体をテンプレートに、異なる種類の金属塩を、それぞれ異なる配向性をもって秩序だった状態に安定化する。そこに、還元剤を添加することで、超分子錯体を中心とした秩序構造を維持したまま、金属塩の還元とナノ粒子形成を行い、担体の高分子全体に渡って、均質な粒径や分散度のナノ粒子が形成できると考えられる。 次に、開発された手法を基盤に、様々な多元金属ナノ粒子触媒や不均一系多機能金属ナノ粒子触媒を開発し、医薬品原体や有機電子材料等の複雑な化合物の精密合成法の開発に応用する。
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研究実績の概要 |
本研究では、高分子担体内で、粒径を自在に制御可能かつ、その分散度が均一な、金属ナノ粒子の生成手法の開発を行う。高分子に固定化した超分子錯体をテンプレートに、異なる種類の金属塩を、それぞれ異なる配向性をもって秩序だった状態に安定化する。そこに、還元剤を添加することで、超分子錯体を中心とした秩序構造を維持したまま、金属塩の還元とナノ粒子形成を行い、担体の高分子全体に渡って、均質な粒径や分散度のナノ粒子が形成できると考えられる。 6つのビスカテコール配位子と4つの金属中心から形成される正四面体型の超分子錯体(Raymond Tetrahedron)を、カチオン性の高分子に担持した、高分子固定化超分子錯体に、金塩や白金塩を吸着させ、水素化ホウ素ナトリウムで還元処理することで、粒径の整った金属ナノ粒子が高分子中に担持されることを、電子顕微鏡による観測から明らかにした。また、金塩と白金塩を同時に吸着させ、水素化ホウ素ナトリウムで還元処理することで二元金属ナノ粒子触媒を調製したところ、興味深いことに、合金ナノ粒子は形成せず、それぞれ粒径の揃った金ナノ粒子と白金ナノ粒子が同一担体に担持されることがわかった。 一方、高分子固定化カルボン酸と、多価アミンからなる、多点相互作用による超構造体形成を指向した不均一系触媒が、Marschalk反応として知られる、ロイコキニザリンとアルデヒドとの、アルドール縮合―分子内酸化還元のタンデム反応に高活性を示すことを見出した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
これまでの検討で、6つのビスカテコール配位子と4つのガリウム金属中心から形成される正四面体型の超分子錯体(Raymond Tetrahedron)を、四級アンモニウムカチオン側鎖を有するカチオン性の高分子に担持した、高分子固定化超分子錯体に、金塩や白金塩を吸着させ、水素化ホウ素ナトリウムで還元処理することで、粒径の整った金属ナノ粒子が高分子中に担持された。 本年度は金塩と白金塩を同時に吸着させ、水素化ホウ素ナトリウムで還元処理することで二元金属ナノ粒子触媒を調製したところ、興味深いことに、合金ナノ粒子は形成せず、それぞれ粒径の揃った金ナノ粒子と白金ナノ粒子が同一担体に担持されることがわかった。 一方、カルボン酸とアミンのような弱酸―弱塩基複合型触媒は、アルドール反応や、不飽和カルボニル化合物への1,4-付加反応などに高活性を示す触媒として知られている。そのような中、高分子固定化カルボン酸と、多価アミンからなる、多点相互作用による超構造体形成を指向した不均一系触媒が、Marschalk反応として知られる、ロイコキニザリンとアルデヒドとの、アルドール縮合―分子内酸化還元のタンデム反応に高活性を示すことを見出した。さらに、本触媒は簡便な操作のみで活性を維持したまま回収、再使用が可能であることを明らかにした。通常、弱塩基と弱酸はその相互作用が弱いため、アミンの流出が想定されるが、新たに開発した不均一系触媒では、触媒活性種の多点相互作用による超構造体形成が流出を抑制し、触媒活性が維持できたと考えられる。
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今後の研究の推進方策 |
超分子錯体をテンプレートに金塩と白金塩を原料とし、二元金属ナノ粒子触媒を形成する際に、合金ナノ粒子ではなく金ナノ粒子と白金ナノ粒子がそれぞれ粒径の揃ったナノ粒子が同一担体に担持されることが明らかになった。そこで、金と白金の組み合わせにとどまらず、様々な金属の組み合わせからなる触媒においても、同様に別々の粒径の揃ったナノ粒子が形成されるか検証を行う。最近の研究結果から、キニザリンのロイコキニザリンへの選択的な水素化反応において、ポリシランーアルミナ複合担体に固定化した白金と鉄、ニッケル、コバルトなどからなる二元金属ナノ粒子触媒が高活性および、高選択性を示すことが明らかになっている。さらに、これらの二元金属ナノ粒子触媒においては、白金ナノ粒子と鉄族ナノ粒子が、近接する反応場に別々のナノ粒子を形成しているがその粒径が不揃いであることがわかっている。そこで、超分子テンプレート法を用いて、白金と鉄族からなる粒子径の揃った二元金属ナノ粒子触媒を調製し、キニザリンのロイコキニザリンへの選択的な水素化反応で触媒活性を評価する。 高分子固定化カルボン酸と、多価アミンからなる、多点相互作用による超構造体形成を指向した不均一系触媒の開発と、それを用いるMarschalk反応の検討を行う。本検討では、カルボン酸を固定化する担体として、ポリスチレン誘導体やポリシロキサンなど想定している。
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