研究課題/領域番号 |
22K19026
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研究種目 |
挑戦的研究(萌芽)
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
中区分33:有機化学およびその関連分野
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
仙波 一彦 京都大学, 工学研究科, 助教 (30712046)
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研究期間 (年度) |
2022-06-30 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
6,500千円 (直接経費: 5,000千円、間接経費: 1,500千円)
2024年度: 1,950千円 (直接経費: 1,500千円、間接経費: 450千円)
2023年度: 2,600千円 (直接経費: 2,000千円、間接経費: 600千円)
2022年度: 1,950千円 (直接経費: 1,500千円、間接経費: 450千円)
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キーワード | 有機フッ素化合物 / グリニャール反応剤 / 複核金属錯体触媒 / 複核金属錯体 / 炭素-フッ素結合活性化 |
研究開始時の研究の概要 |
本研究では、有機フッ素化合物の新しい合成法の開発を行う。有機フッ素化合物は、その高い有用性から合成法が盛んに研究されてきた。従来法は、フッ素原子やフルオロアルキル基をいかに導入するかに着目したものが大部分であった。本研究では、いくつかのフッ素原子を有する有機化合物の炭素-フッ素結合を選択的に変換する従来とは異なる有機フッ素化合物の合成手法を開発する。本技術開発により、入手容易なポリフルオロアレーンや、トリフルオロメチル基を出発原料とし、様々な有機フッ素化合物の合成が可能となり、有機フッ素化物の合成化学が大きく変革する。
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研究実績の概要 |
有機フッ素化合物はフッ素の大きな電気陰性度に由来する特異な性質を示すため、医農薬品および機能性有機材料として広く用いられており、現在の我々の豊かな生活を支えている。それら有用物質の開発には、多数の化合物をスクリーニングする場合が多いため、有機フッ素化合物の効率的な合成手法の開発が求められている。本研究では、多フッ素置換有機化合物の炭素-フッ素結合の選択的な変換を利用する有機フッ素化合物の新しい合成手法の開拓を目的とする。具体的には、ポリフルオロアレーンやトリフルオロメチル基の炭素-フッ素結合を選択的に変換することで、従来法で合成困難な多官能性芳香族フッ素化合物や、ジフルオロアルキル化合物の合成手法を開発する。 R4年度は、マルチフルオロアレーンの複核金属錯体によるサイト選択的なマグネシウム化反応による含フッ素アリールマグネシウム反応剤の調製法の開発を行なった。研究代表者はこれまでに、アルミニウム-ロジウム複核錯体がフッ化アリールの炭素-フッ素結合のマグネシウム化反応に有効である知見を有するため、アルミニウム-ロジウム複核錯体を用いた検討を行った。その結果、ジフルオロアレーンおよびトリフルオロアレーンのモノマグネシウム化反応が選択的に進行することを見出した。また、本触媒系は基質の立体情報を敏感に認識することができることも明らかにした。例えば、2,4-ジフルオロトルエンを用いた場合には、4-位の炭素-フッ素結合のみがサイト選択的にマグネシウム化された。今後は、本反応を利用する有用物質の合成に挑戦し、その有用性を実証し、論文投稿する予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
R4年度は、マルチフルオロアレーンの複核金属錯体によるサイト選択的なマグネシウム化反応の開発を予定していた。検討の結果、アルミニウム-ロジウム複核錯体がジフルオロアレーンやトリフルオロアレーンのサイト選択的なモノマグネシウム化反応に効果的な触媒となることを見出したため、研究は計画通りに進行していると判断した。
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今後の研究の推進方策 |
R5年度は、R4年度に得た知見を基礎に、複核金属錯体触媒を利用する穏和な含フッ素アリール金属反応剤の調製法の開発を行う。例えば、含フッ素アリールホウ素反応剤を合成する手法を開発する。また、複核金属錯体を利用するマルチフルオロアルカンの炭素-フッ素結合の変換反応の開発を開始する。具体的には、トリフルオロメチルベンゼンの炭素-フッ素結合のメタル化反応を開発することから始める。
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