研究課題/領域番号 |
22K19029
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研究種目 |
挑戦的研究(萌芽)
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
中区分33:有機化学およびその関連分野
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研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
森 直 大阪大学, 大学院工学研究科, 准教授 (70311769)
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研究期間 (年度) |
2022-06-30 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
6,370千円 (直接経費: 4,900千円、間接経費: 1,470千円)
2024年度: 1,950千円 (直接経費: 1,500千円、間接経費: 450千円)
2023年度: 1,950千円 (直接経費: 1,500千円、間接経費: 450千円)
2022年度: 2,470千円 (直接経費: 1,900千円、間接経費: 570千円)
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キーワード | アップコンバージョン / エネルギー移動 / トロイダル相互作用 / エキシプレックス / エキシマー |
研究開始時の研究の概要 |
本研究では、トロイダル相互作用を示すヘキサアリールベンゼンを基盤骨格とした実証実験により、①環状トポロジー、②励起エネルギーゆらぎ最適化、③エネルギー移動ダイナミクスの制御、の励起エネルギー移動制御3因子の設計指針を得、新しいフォトンアップコンバージョンによる太陽光エネルギー変換技術の革新に挑戦する。
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研究実績の概要 |
低エネルギー光を高エネルギー光に変換するフォトンアップコンバージョンにおいて、三重項三重項対消滅を経る機構が最も実用性の高いものと期待されている。この機構では増感剤からのエネルギー伝達、色素間のエネルギー移動と励起色素2分子の衝突、生成する高励起一重項状態からの発光などの多段階プロセスが関与し、その各プロセスの精密制御が重要である。しかしながら高効率フォトンアップコンバージョンを実現する最適な色素配列の指針はいまだ確立されていない。 本研究では、ドーナツ状にπ系がつながった、いわゆるトロイダル相互作用を示すことが知られているヘキサアリールベンゼン誘導体を基盤骨格とした実証実験により、そのエネルギー移動効率の最適化により、フォトンアップコンバージョンの高効率化に資する新しい分子設計の設計指針を得ることを目的としている。 本年度は、いくつかのヘキサアリールベンゼン誘導体において、側鎖アリール基のプロペラ様の動的な構造が様々な物性にどのような影響を与えるかを検討した。例えば、側鎖アリール基の中心のベンゼンに対するねじれ運動について、外部因子となる溶媒極性や粘度、その形状などにより、その安定角とダイナミズムに応じたオプティカル、並びにキロプティカル特性が変調可能であることが明らかとなった。特に、左右のねじりの方向を制御できるプロペラキラリティーを発現可能であることを明らかとした。このような動的な物性を中心とする一部の成果に関しては、学会発表、論文発表等で公表した。今後は各種分光法によってその挙動の詳細を明らかとするとともに、引き続きアップコンバージョンに資する誘導体の合成へと展開する。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本研究で重要となるヘキサアリールベンゼン誘導体の合成に着手し、順調に進んでいる。目的化合物の一部については物性評価へと進んでおり、これまでには見られないような特異な物性、応答性が見られた。一方で、アップコンバージョンに資すると考えられるヘキサアリールベンゼン誘導体については溶解度の問題から詳細な検討は今後の課題となっている。今後、溶解度の高い誘導体などを検討する必要があると考えている。
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今後の研究の推進方策 |
フォトンアップコンバージョンに資するヘキサアリールベンゼン誘導体の候補分子として6つのジフェニルアントラセンを骨格に直接導入することを検討したが、段階的にジフェニルアントラセンが導入された複雑な混合物となった。種々の検討の結果、遷移金属を用いる三量化反応を用いた合成法を確立し、質量分析等により目的化合物が主生成物として生じていることを確認したが、難溶性であったため精製が困難という結果となった。今後は溶解度向上のため、末端のベンゼン環等に長鎖アルキル基を導入した誘導体の合成を検討する。
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