研究課題/領域番号 |
22K19032
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研究種目 |
挑戦的研究(萌芽)
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
中区分33:有機化学およびその関連分野
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研究機関 | 岡山大学 |
研究代表者 |
三浦 智也 岡山大学, 環境生命自然科学学域, 教授 (10378804)
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研究期間 (年度) |
2022-06-30 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
6,500千円 (直接経費: 5,000千円、間接経費: 1,500千円)
2024年度: 1,950千円 (直接経費: 1,500千円、間接経費: 450千円)
2023年度: 1,950千円 (直接経費: 1,500千円、間接経費: 450千円)
2022年度: 2,600千円 (直接経費: 2,000千円、間接経費: 600千円)
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キーワード | 水和反応 / アルケン / LMCT遷移 / anti-Markovnikov選択性 / 光反応 |
研究開始時の研究の概要 |
本研究で開発を目指す水和反応は以下の素過程で構成される。まず触媒として用いる遷移金属錯体([M]n-L)との配位子交換によって、基質であるアルケンが金属中心に配位する。続く光励起によるLMCT遷移が起こり、ラジカルカチオン中間体を与える。このラジカルカチオン中間体に対する水の付加は、より安定なラジカル種を与えるように進行するため、水素置換基の少ない(級数の大きい)アルキルラジカル種が優先的に生成する。最後にアルキルラジカル種とチオールの間で水素移動反応(HAT)が起こり、触媒が再生するとともに第1級アルコールを与える。
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研究実績の概要 |
アルケンの水和反応が進行するためには、基質であるアルケンの求電子的な活性化が必要である。例えば、酸性条件下でのアルケンのMarkovnikov 型水和反応では、プロトンを用いたアルケンの活性化によりカルボカチオン中間体が生成し、これに求核剤である水が付加する。したがって、anti-Markovnikov 型水和反応を実現するためには、酸触媒とは異なる位置選択性を可能にするアルケンの活性化法が必要となる。最近、Lei(中国)らは、可視光酸化還元触媒(福住触媒)を用いて、アルケンの一電子酸化により生じるラジカルカチオン中間体を活性種とするanti-Markovnikov 型水和反応を報告した。この反応では、ラジカルカチオン中間体に対する水の付加が級数の大きい、より安定なラジカル種を与えるように進行することを利用して位置選択性を制御している。しかし、比較的酸化電位の低いスチレン誘導体でしか反応が効率よく進行せず、基質一般性に課題を残している。そこで私はスチレン誘導体に限らず、脂肪族を含む様々なアルケンに適用できるanti-Markovnikov 型水和反応の開発を目指している。 アルケンを一電子酸化する触媒として様々な遷移金属触媒を検討したところ、銅触媒存在下で可視光を照射すると、スチレン誘導体のanti-Markovnikov型水和反応が進行することを見出した。すなわち、4-tert-ブチルスチレン(1, 0.30 mmol)に対し、塩化銅(Ⅱ)bathophenanthroline錯体 (5.0 mol %)、3,4-ジメトキシベンゼンチオール(20 mol %)を加え、アセトニトリル/水溶媒中、可視光を照射したところ、目的生成物を収率54%で得た
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
アルケンを一電子酸化する触媒として様々な遷移金属触媒を検討したところ、銅触媒存在下で可視光を照射すると、スチレン誘導体ではあるが、水和反応は進行する、新しい触媒系を見出すことができたため
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今後の研究の推進方策 |
今後は、見出した銅触媒水和反応の有用性を示すために基質適用範囲の調査を行い、銅触媒の酸化還元電位を測定するなどして反応機構の解明に取り組む。また脂肪族アルケンのanti-Markovnikov 型水和反応が進行する反応条件の検討も引き続き行う。
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