研究課題/領域番号 |
22K19035
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研究種目 |
挑戦的研究(萌芽)
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
中区分33:有機化学およびその関連分野
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研究機関 | 大阪公立大学 |
研究代表者 |
神川 憲 大阪公立大学, 大学院理学研究科, 教授 (40316021)
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研究期間 (年度) |
2022-06-30 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
6,500千円 (直接経費: 5,000千円、間接経費: 1,500千円)
2024年度: 2,080千円 (直接経費: 1,600千円、間接経費: 480千円)
2023年度: 2,210千円 (直接経費: 1,700千円、間接経費: 510千円)
2022年度: 2,210千円 (直接経費: 1,700千円、間接経費: 510千円)
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キーワード | ヘリセン / トリプチセン / キラルナノカーボン |
研究開始時の研究の概要 |
フラーレンやカーボンナノチューブに代表されるように高い分子対称性を有し、π造形的にも新しいナノカーボンが、新奇な機能の発現をもたらすことは論を待たない。本研究課題では、キラルナノカーボンの発展に資する新奇な王冠状キラル分子「カーボンナノクラウン」 を創製するとともに、それをキラル分子クリップとして利用することを目的としている。
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研究実績の概要 |
本研究では、6つのキラル[7]ヘリセン構造から成る王冠状キラル分子、カーボンナノクラウンの創製を計画し、その合成を検討した。この1は、代表的な三次元ビルディングブロックであるトリプチセンとヘリセンを組み合わせることでヘリセンのもつ螺旋状にねじれた π 共役構造を、歯車状に配置・展開した新たなキラルトリプチセンユニットをさらに三量化による集積を行うことで得られると考えれる。さらに、その構造的な特徴として、中央のトリフェニレン骨格を挟んで上下方向にそれぞれ3つのヘリセンに囲まれたキラル空孔を有する。また、一分子中に6つのヘリセンを集積させることによるキラル光学特性についても興味が持たれた。カーボンナノクラウンの合成における鍵中間体となるダブルヘリセニルトリプチセンを合成するにあたり、π拡張 [7]ヘリセンの合成を行なった。9,10-ジブロモ[7]ヘリセンを用いたAryne Diels-Alder反応、続くRetro Diels-Alder反応によりフラン融着[7]ヘリセン を92%で合成した。これに、1,2-dibromo-4,5-dimethoxybenzene と n-BuLi から発生させたアラインを用いて、さらに芳香環化を行うことによりπ拡張 [7]ヘリセン を得た。ヘリセニルアライン前駆体に対してフッ化セシウムを作用させ、系中で発生させた[7]ヘリセニルアラインをアントラセン融着[7]ヘリセン3に対してDiels-Alder反応を行うことにより、ダブル[7]ヘリセニルトリプチセンを14%で合成することに成功した。最後に、このダブル[7]ヘリセニルトリプチセンを山本カップリングを行うことで、目的とするカーボンナノクラウンを微量ながら得ることに成功した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
合成上の困難さが想定された目的のカーボンナノクラウンを1年足らずで合成することに成功したため。
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今後の研究の推進方策 |
今回合成に成功したカーボンナノクラウンは微量であるため、さまざまな物理的性質を測定するに至っておらず、今後は物理データーの取得が課題となっている。そのため、合成ルートや反応条件の最適化を行い収率の向上を図るとともに、さまざまな必要とされる物理データーの取得を進めていくことを計画している。さらに、目的の化合物が合成できることを確認できたので、光学活性なカーボンナノクラウンの合成に着手することを計画している。
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