研究課題/領域番号 |
22K19039
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研究種目 |
挑戦的研究(萌芽)
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
中区分34:無機・錯体化学、分析化学およびその関連分野
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研究機関 | 北海道大学 |
研究代表者 |
小林 厚志 北海道大学, 理学研究院, 准教授 (50437753)
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研究期間 (年度) |
2022-06-30 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
6,370千円 (直接経費: 4,900千円、間接経費: 1,470千円)
2023年度: 2,860千円 (直接経費: 2,200千円、間接経費: 660千円)
2022年度: 3,510千円 (直接経費: 2,700千円、間接経費: 810千円)
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キーワード | 光触媒 / 水分解 / インク / 光電極 / 色素増感 / 疎水性相互作用 / 水分解反応 / ボトムアップ構築 |
研究開始時の研究の概要 |
本研究では可視光触媒ナノ粒子の表面改質と導電性高分子コロイドを組み合わせて「伝導性光触媒インク」を創出し、温和かつ簡便な成膜過程により軽くて柔軟な光電極の構築を目指します。多孔質電極という制限された場で、光吸収・電荷分離・触媒活性という光触媒に必須な3機能を組み上げる従来のShip-in-a-bottle法から脱却し、3機能を併せ持つ材料と電極を構成する材料を組み合わせて広大な光反応場を作り上げるbottom-up法へと大きく転換することで、重くて硬い水分解光電気化学セルのイメージを刷新し、ニーズに合わせてセルの形状や大きさを自在に変えられる新世代デバイスの創出に挑戦します。
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研究実績の概要 |
本研究では伝導性光触媒インクの創出により、簡易成膜により軽く柔軟な水分解光電極の構築を目指して研究を展開中である。 研究初年度は「光触媒インクの創出」を第一目標として、色素増感水素生成ナノ粒子光触媒表面に疎水性アルキル基を修飾し、リン脂質からなる球殻状脂質二分子膜(ベシクル)と組み合わせることで、均一に水に分散する光触媒ナノ粒子インクの創出を検討してきた。 疎水性ノニル基を修飾したルテニウム色素増感光触媒ナノ粒子RuC9@Pt-TiO2は表面疎水性が高く、水に対してほとんど分散せず、光触媒活性もノニル基を持たない類似系Ru@Pt-TiO2の半分以下と見積もられた。一方、リン脂質(DPPC)からなるベシクル膜へ分散させると、水に対して高分散化し、その集合体のサイズは40nm程度と小さいことが明らかとなった。さらに興味深いことにアスコルビン酸共存下における光水素生成反応活性は、ベシクル膜へ分散させることで3倍以上にも増強され、表面ノニル基がないRu@Pt-TiO2の活性を上回ることがわかった。このベシクル膜共存下における水素生成光触媒活性の向上は、疎水性ノニル基を持たない類似系では全く観測されなかったことから、表面疎水性がベシクル膜との相互作用に必要不可欠であると考えられる。 以上の結果は、リン脂質ベシクルが表面疎水性光触媒ナノ粒子の水に対する分散性を著しく向上させ、光触媒活性を大幅に増強していることを実証するものであり、本手法が光触媒ナノ粒子を高い活性を保ちつつ溶媒に対する分散性を向上させ、印刷に適するインク化に有望であることを示すものと考えられる。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
光触媒ナノ粒子表面の疎水化は親水性反応基質の接近を妨げる要因となり得るため、本研究の立案段階では、アルキル基修飾による疎水性の獲得は光触媒活性低下の要因になりうると想定された。 しかし、これまでの研究実績により、その懸念は打開できることが明らかとなった。これは想定以上の結果であり、修飾するアルキル基の鎖長や修飾密度により表面疎水性を任意に制御できれば、高分散かつ高活性な光触媒ナノ粒子の創出につながる可能性も期待できる。 以上の観点から、本研究は当初の計画以上に進展していると判断できる。
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今後の研究の推進方策 |
今後の研究展開としては、より高活性な光触媒インクの創出を目指し、担持する色素を多層化して電荷分離効率を向上させつつ、ナノ粒子表面に担持する疎水性アルキル基の鎖長や担持密度を制御し、その分散性と光触媒活性の相関関係を明らかとする。 同時に分散補助剤として単純なリン脂質のみならず、導電性高分子コロイドや酸化還元活性脂質等を積極的に活用し、水分散系で高活性な光触媒系を構築しつつ、これらをインクとして活用し、スピンコートやドロップキャスト等の簡易成膜法により高活性な光水素生成電極の創出を目指す。
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