• 研究課題をさがす
  • 研究者をさがす
  • KAKENの使い方
  1. 前のページに戻る

有機金属錯体でプラスチック結晶を創る:柔らかい錯体結晶相の開拓

研究課題

研究課題/領域番号 22K19049
研究種目

挑戦的研究(萌芽)

配分区分基金
審査区分 中区分34:無機・錯体化学、分析化学およびその関連分野
研究機関神戸大学

研究代表者

持田 智行  神戸大学, 理学研究科, 教授 (30280580)

研究分担者 桑原 大介  電気通信大学, 研究設備センター, 准教授 (50270468)
藤森 裕基  日本大学, 文理学部, 教授 (80297762)
研究期間 (年度) 2022-06-30 – 2025-03-31
研究課題ステータス 交付 (2023年度)
配分額 *注記
6,500千円 (直接経費: 5,000千円、間接経費: 1,500千円)
2023年度: 1,820千円 (直接経費: 1,400千円、間接経費: 420千円)
2022年度: 4,680千円 (直接経費: 3,600千円、間接経費: 1,080千円)
キーワード金属錯体 / 柔粘性結晶
研究開始時の研究の概要

本課題では、有機金属錯体を素材とするイオン性プラスチック結晶の開発に挑む。この物質設計により、金属錯体由来の優れた機能性と、プラスチック相特有の柔軟性を兼ね備えた斬新な物質群を構築する。ここでは第一に、球形に近い機能性ハーフサンドイッチ錯体のカチオンと、フッ素系アニオンからなる一連の塩を合成する。生成物の相挙動と構造を評価し、より低温でプラスチック相を示す塩を探索する。第二に、これらの機能性を評価し、その機構を解明する。第三に、膜形成に挑戦し、その機能性拡張をはかる。

研究実績の概要

本課題では、有機金属錯体を用いたイオン性プラスチック結晶(IPC)の物質開拓および機能性実現を目的とする。今年度は第一に、昨年度見出された、IPC相を示すハーフサンドイッチ型ルテニウム錯体の相挙動評価を継続した。固体NMRを適用して室温相での分子運動を検討した結果、この相ではカチオンが一軸回転を起こしていることが判明した。粉末X線回折から、結晶多形の存在が判明し、それらのIPC相への相転移温度が異なることも見出された。第二に、IPC相発現条件の解明を目的として、一連のDMSO配位ハーフサンドイッチ型錯体および対応するサンドイッチ型錯体の結晶構造と相転移挙動を検討した。後者の塩は多くがIPC相を発現したが、前者の塩はIPC相を発現しなかった。これらの比較から、IPC相の発現にはカチオン・アニオンの結晶中での交互配置が必須であることが判明した。また交互配置をとっている場合でも、カチオン周囲の環境の非対称性または分子間の立体障害が大きい場合には分子回転が阻害され、IPC相が発現しなかった。この傾向は、分子の対称性が低いハーフサンドイッチ型錯体は、IPC相を本質的に発現しにくいことを示唆している。一方、IPC相を発現した塩では、カチオン環境の対称性とIPC相への相転移温度の間に相関が見られた。これらの結果はいずれも、今後の有機金属系IPCの設計に非常に有用な知見である。以上の検討に加えて、サンドイッチ型錯体の塩に関しては、IPC相への相転移温度に対するアニオンの影響の検討を進めた。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

サンドイッチ型およびハーフサンドイッチ型錯体の塩において、柔粘性イオン結晶相の評価と、その発現条件の考察が進んだ。これは今後の展開につながる成果であり、進捗状況に問題はない。

今後の研究の推進方策

次年度は第一に、IPC相を示すハーフサンドイッチ型ルテニウム含有錯体の相挙動評価を継続する。固体NMRによる分子運動解析を、IPC相を示す塩および示さない塩の両方について行う。第二に、IPC相発現条件の検討の継続として、サンドイッチ型錯体の塩の相転移挙動に対する検討・考察を進める。これらの結果を踏まえ、ハーフサンドイッチ型錯体を用いた機能性柔粘性イオン結晶を開発し、その構造と化学反応を評価する。

報告書

(2件)
  • 2023 実施状況報告書
  • 2022 実施状況報告書
  • 研究成果

    (7件)

すべて 2024 2023 2022

すべて 雑誌論文 (1件) (うち査読あり 1件、 オープンアクセス 1件) 学会発表 (6件)

  • [雑誌論文] Preparation, Thermal Properties, and Structures of Ionic Plastic Crystals with Sandwich and Half-Sandwich Ru Complexes2024

    • 著者名/発表者名
      Ryota Inoue, Ryo Sumitani, Tomoyuki Mochida
    • 雑誌名

      Journal of Organometallic Chemistry

      巻: ー ページ: 123162-123162

    • DOI

      10.1016/j.jorganchem.2024.123162

    • 関連する報告書
      2023 実施状況報告書
    • 査読あり / オープンアクセス
  • [学会発表] シアノ系アニオンを有する有機金属柔粘性イオン結晶の構造および相挙動2024

    • 著者名/発表者名
      井上亮汰, 島田壮人, 持田智行
    • 学会等名
      日本化学会第104春季年会
    • 関連する報告書
      2023 実施状況報告書
  • [学会発表] ハーフサンドイッチ型Ru錯体からなる柔粘性イオン結晶の構造と物性2023

    • 著者名/発表者名
      井上亮汰, 角谷凌, 持田智行, 桑原大介
    • 学会等名
      第17回分子科学討論会
    • 関連する報告書
      2023 実施状況報告書
  • [学会発表] ハーフサンドイッチ型錯体からなる柔粘性イオン結晶の結晶構造および相挙動2023

    • 著者名/発表者名
      井上亮汰, 角谷凌, 持田智行
    • 学会等名
      日本化学会第103春季年会
    • 関連する報告書
      2022 実施状況報告書
  • [学会発表] ビニル基を有する四級塩からなる柔粘性イオン結晶の熱的性質と化学反応性2023

    • 著者名/発表者名
      中園陽介, 角谷凌, 持田智行
    • 学会等名
      日本化学会第103春季年会
    • 関連する報告書
      2022 実施状況報告書
  • [学会発表] ハーフサンドイッチ型Ru錯体をカチオンとする柔粘性イオン結晶の開発2022

    • 著者名/発表者名
      井上亮汰, 角谷凌, 持田智行
    • 学会等名
      第12回イオン液体討論会
    • 関連する報告書
      2022 実施状況報告書
  • [学会発表] ビニル基を有する四級アンモニウム塩を用いた柔粘性イオン結晶の開発2022

    • 著者名/発表者名
      中園陽介, 角谷凌, 持田智行
    • 学会等名
      第12回イオン液体討論会
    • 関連する報告書
      2022 実施状況報告書

URL: 

公開日: 2022-07-05   更新日: 2024-12-25  

サービス概要 検索マニュアル よくある質問 お知らせ 利用規程 科研費による研究の帰属

Powered by NII kakenhi