研究課題/領域番号 |
22K19050
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研究種目 |
挑戦的研究(萌芽)
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
中区分34:無機・錯体化学、分析化学およびその関連分野
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研究機関 | 広島大学 |
研究代表者 |
水田 勉 広島大学, 先進理工系科学研究科(理), 教授 (70221603)
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研究期間 (年度) |
2022-06-30 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
6,500千円 (直接経費: 5,000千円、間接経費: 1,500千円)
2023年度: 3,250千円 (直接経費: 2,500千円、間接経費: 750千円)
2022年度: 3,250千円 (直接経費: 2,500千円、間接経費: 750千円)
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キーワード | ポリシロキサン / 環状オリゴシロキサン / 錯体触媒 / 金属錯体触媒 / パラジウム / 添加剤効果 / KOtBu / 解重合 |
研究開始時の研究の概要 |
シリコーン(SiR2O)nは,化学安定性に優れ、低毒性、耐光性、絶縁性など多くの優れた特性を持つ。莫大なエネルギーを費やして世界で約300万トン近く生産されているが、埋め立て処分もしくは焼却処理されており、再利用されていない。 本研究ではシリコーンを環状オリゴマーに変換する触媒反応(解重合反応)の開発を行う。環状オリゴマーは容易にポリマーへと変換できるので、シリコーンの再利用が可能となる。現在Pd2核錯体が有効な触媒として働き、(SiR2O)n(n=4)を47%収率で生成することを見出しているので、これを手掛かりとして、高効率な触媒の開発を行う。
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研究実績の概要 |
シリコーン(SiR2O)nは,主鎖がSi-O結合である無機高分子である。シリコーンは、熱的に安定で、化学安定性に優れ、低毒性、耐光性、絶縁性など多くの優れた特性を持つ。世界で約300万トン近く生産されているが、使用後のシリコーンは、埋め立て処分もしくは焼却処理されており、莫大なエネルギーを費やして合成されるにもかかわらず、再利用されていない。本研究ではシリコーンの再利用の手法を開発するため、ポリマーを環状オリゴマーに変換する触媒反応(解重合反応)の開発を行う。シリコーンとして代表的な(SiMe2O)nは、極性の酸素基を内側にしたコイル型構造をとる。Si上の2つの酸素を金属にキレート配位させられるような金属錯体を使うことにより、コイルの末端Me2SiO-基の攻撃による環化反応を促進させ、環状オリゴマー(SiMe2O)n(n<10)を得ることを実現する。 環化反応を促進する錯体触媒としてPdの2核錯体Pd2(mu-PPh2)(dppm)(Ph2PMe)2+が有効であることを見出した。この錯体を触媒として、シリコーングリースおよびシリコンオイルなどの高分子量の直鎖シリコーンが、(SiMe2O)n (n=4-6)の環状オリゴマーとして得られる。最も収率の高いものはn=4であり、現段階では47%程度得られた。 新たなPd2核錯体の補助配位子として、カルベン配位子を取り込んだ多座配位子を開発した。今後、錯体合成に供する予定である。 これと並行してPd2(mu-PPh2)(dppm)(Ph2PMe)2+を使った触媒反応の効率化を検討した。この触媒反応は完結まで48hを要していたので、添加剤を検討することにより、反応速度の向上を目指した。種々検討した結果、KOtBuを触媒と当量加えることにより、反応速度が大幅に向上することを見出した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
より高活性な錯体触媒の開発を目指して、種々の配位子群を調査しているが、当初より見出しているPd2(mu-PPh2)(dppm)(Ph2PMe)2+よりも高活性なものを見いだせていない。しかしながら、添加剤による反応促進を確認できているので、添加剤が有効である原因を解明することで、ポイントとなっている要素を新たな錯体に付与することで、より一層の高活性化を期待できる。
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今後の研究の推進方策 |
添加剤の効果を解明するために、金属錯体と添加剤の当量比を精査する。現段階では、添加剤のKOtBuは、基質であるポリシロキサンを活性化する効果があると推定される。そこで、添加剤をPd触媒の配位子として組み込むことで、添加剤を錯体内に併せ持った新たな触媒とし、触媒効率の一層の向上を目指す。
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