研究課題/領域番号 |
22K19053
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研究種目 |
挑戦的研究(萌芽)
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
中区分34:無機・錯体化学、分析化学およびその関連分野
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研究機関 | 熊本大学 |
研究代表者 |
速水 真也 熊本大学, 大学院先端科学研究部(理), 教授 (30321912)
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研究期間 (年度) |
2022-06-30 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
6,500千円 (直接経費: 5,000千円、間接経費: 1,500千円)
2023年度: 3,250千円 (直接経費: 2,500千円、間接経費: 750千円)
2022年度: 3,250千円 (直接経費: 2,500千円、間接経費: 750千円)
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キーワード | 極性分子 / 動的電子 / 強誘電性 / 磁性 / 伝導性 / 強誘電 / 極性 |
研究開始時の研究の概要 |
本研究では、スピン・電荷・構造の大きな自由度をもつ金属錯体において、動的電子状態を制御することで分極変化を制御できる極性分子システムを実現する。すなわち、混合原子価、プロトン移動、スピンクロスオーバー、ドナー・アクセプター、原子価異性などの動的電子状態を有する金属錯体をコアとして、動的電子状態に基づいた極性分子材料を開発する。そこで得られた知見を基に、分子材料インフォマティックスを駆使し、分子材料開発にフィードバックする。最終的には、新しい極性分子科学の新たなトレンドとして「動的電子状態に基づいた極性材料の開発」を行う。
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研究実績の概要 |
本研究では、動的電子状態を有する金属錯体を用いて、動的電子状態により誘起する高速応答可能な強誘電性の発現を目指し、混合原子価、プロトン移動、スピンクロスオーバー、ドナー・アクセプター、原子価異性などの金属錯体をコアとして、電子移動やスピン状態変化のよる極性分子材料および極性発光材料の研究開発を行った。また第一原理計算を行い、機能評価などの研究結果にフィードバックする。さらに情報科学を融合することにより、分子材料インフォマティックスを駆使して高機能化を目指した材料開発を行った。 「動的電子状態に基づいた極性分子の開発」において、エントロピー駆動の電子移動やスピン状態変化(混合原子価、プロトン移動、スピンクロスオーバー、ドナー・アクセプター、原子価異性など)による極性分子材料の開発を行った。混合原子価では、電子移動に伴うダイポールの変化が期待できる。二核錯体だけでなく三核錯体などへと展開していき強誘電性の発現に成功した。。電子移動と異なりプロトン移動においても、分極変化が起こる物質が知られており、プロトン移動により極性分子の開発も行った。スピンクロスオーバーでは、高スピン状態のダイポールモーメントは低スピン状態よりも大きく、スピン状態変化で極性分子の開発を行う。またキラル配位子などを導入したスピンクロスオーバー二核錯体では、スピン状態に基づいた極性分子の開発も可能である。ドナー・アクセプターにおける電荷の移動により、極性分子を構築できる。また原子価異性においても電子移動に基づいた分極の制御により極性分子の開発を行う。これらの一連の物質群において強誘電性の発現に成功した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本研究のターゲットである動的電子状態に起因した極性分子の開発は、スピンクロスオーバー、混合原子価、プロトン移動により強誘電性の発現に成功し、順調に研究は進んでいる。
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今後の研究の推進方策 |
極性材料は、分極特性を利用したデバイスとして様々な物質開発が行われてきた。分極スイッチのメカニズムとしてイオン変位や分子配向変化が利用され、極性材料として強誘電物質が多く用いられている。これらの極性材料を高速化、高性能化、省エネ化するために、金属錯体の動的電子状態に着目し、極性分子材料において電子移動やスピン状態変化に基づいた分極制御、ならびに分子材料インフォマティックスによる極性分子材料の精密合成を行っていき、構造誘起による強誘電発現だけでなく、金属錯体特有の動的電子状態に基づいた強誘電性の発現を目指す。
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