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カーバイド配位子を有する鉄硫黄クラスターの合成と性質の解明

研究課題

研究課題/領域番号 22K19054
研究種目

挑戦的研究(萌芽)

配分区分基金
審査区分 中区分34:無機・錯体化学、分析化学およびその関連分野
研究機関大阪公立大学

研究代表者

竹本 真  大阪公立大学, 大学院理学研究科, 准教授 (20347511)

研究期間 (年度) 2022-06-30 – 2025-03-31
研究課題ステータス 交付 (2023年度)
配分額 *注記
6,500千円 (直接経費: 5,000千円、間接経費: 1,500千円)
2024年度: 1,950千円 (直接経費: 1,500千円、間接経費: 450千円)
2023年度: 1,690千円 (直接経費: 1,300千円、間接経費: 390千円)
2022年度: 2,860千円 (直接経費: 2,200千円、間接経費: 660千円)
キーワードニトロゲナーゼ / カーバイド / クラスター / 鉄硫黄クラスター / 窒素固定
研究開始時の研究の概要

空気中の窒素分子を常温常圧でアンモニアへと変換し、生命に必須の窒素源を供給する酵素ニトロゲナーゼの活性部位には、炭素原子(カーバイド)を中心に持つ類例のない金属硫黄クラスターが含まれてます。この特異なクラスターがどのようにして形成されるのか、そしてなぜ窒素の還元に適しているのかを明らかにすることは、酵素の作用機構の解明だけでなく、将来の革新的な分子触媒の設計にも資する重要な知見を与えるものと期待されます。これらの問いを解明するために、本研究では、ニトロゲナーゼの活性部位のモデルとなる鉄硫黄カーバイドクラスターを合成し、それらの窒素固定に関連した反応性を分子レベルで明らかにします。

研究実績の概要

本研究では、応募者がこれまでに開拓してきた金属カーバイド錯体の合成法を基盤として、ニトロゲナーゼ活性中心のモデルとなる金属硫黄カーバイドクラスターを創成する。ニトロゲナーゼ活性中心の生成過程において、出発物質である Fe4S4 クラスターは Fe4S3C のキュバン型構造へと変化しており、4 つの鉄のうち 3 つの配位環境が大きく変化している。これを踏まえ、置換不活性な配位子 NHC を 1 つ、置換活性なハロゲン配位子を 3 つ有する Fe4S4 クラスターを合成した。また、NHC:I = 2:2 のクラスターも合成に成功している。さらに、これらのクラスターにC1配位子であるメチル基を導入した化合物の合成にも成功した。現在、カーバイドクラスターへの誘導を検討している。Fe4S4 クラスターとの反応に適していると予想されるコンパクトな無置換 Cp 配位子や求核性の高いメチリジン配位子を持つ二核 Ru 錯体を合成している。これらの二核 Ru 錯体をテンプレートとして Fe4S4 クラスターとの複合化を行う予定である。ニトロゲナーゼ活性中心の基質捕捉部位は、カーバイドで架橋された 6 個の鉄原子の内の 2 個の鉄中心であると考えられていることから、この部分構造のモデルとなる二核錯体を合成する。応募者がこれまでに合成した二核 Ru 錯体を利用するほか、その Fe アナログを新たに合成する。まだ、研究対象となる金属硫黄カーバイドクラスターが得られていないため、直接的な検討はできていないが、ヒドラジンを取り込んだ炭素架橋二核 Ru 錯体や、イリド Ph2S=CH2 を炭素源として、二核 Ru カーバイドクラスター上で CO 還元に関連した炭素―炭素結合形成反応が実現できることを見出している。これらの知見を金属硫黄カーバイドクラスターの反応開拓に活用する。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

3: やや遅れている

理由

目的とする Fe4S3C のキュバン型クラスターの合成に向けて置換不活性な配位子 NHC を 1 つ、置換活性なハロゲン配位子を 3 つ有する Fe4S4 クラスターを合成した。また、NHC:I = 2:2 のクラスターも合成に成功している。さらに、これらのクラスターにC1配位子であるメチル基を導入した化合物の合成にも成功した。しかしながら、目的とするカーバイドクラスターの合成には至っていない。カーバイドクラスターの合成を早急に達成し、それらの性質を調べる段階に進むことが必要である。

今後の研究の推進方策

置換不活性な配位子 NHC を 1 つ、置換活性なハロゲン配位子を 3 つ有する Fe4S4 クラスターを合成した。また、NHC:I = 2:2 のクラスターも合成に成功している。さらに、これらのクラスターにC1配位子であるメチル基を導入した化合物の合成にも成功した。しかしながら、目的とするカーバイドクラスターの合成には至っていない。カーバイドクラスターの合成を早急に達成し、それらの性質を調べる段階に進むことが必要である。今後は以下の点を中心に研究を推進していく。
1) Fe4S4 クラスターに配位したメチル基のカーバイドへの変換
2) ダブルキュバン型Fe8S8クラスターの合成とメチル化
3) カーバイド配位子を有する鉄硫黄クラスターの性質の解明

報告書

(2件)
  • 2023 実施状況報告書
  • 2022 実施状況報告書
  • 研究成果

    (5件)

すべて 2023 2022

すべて 学会発表 (5件) (うち国際学会 1件、 招待講演 1件)

  • [学会発表] NHCを支持配位子とする 4Fe-4S ハライドクラスターの合成と性質2023

    • 著者名/発表者名
      中山雅記・矢野龍玄・竹本真・松坂裕之
    • 学会等名
      錯体化学会第73回討論会
    • 関連する報告書
      2023 実施状況報告書
  • [学会発表] 嵩高いシクロペンタジエニル配位子を有する二核ルテニウムメチレン錯体の合成と反応性2022

    • 著者名/発表者名
      由良圭佑・竹本真・松坂裕之
    • 学会等名
      第68回有機金属化学討論会
    • 関連する報告書
      2022 実施状況報告書
  • [学会発表] レドックススイッチ機能を有する Ru-Pt 異種二核錯体の合成と反応性2022

    • 著者名/発表者名
      堀川順哉・阪上尚希・木曽彩日・竹本真・松坂裕之
    • 学会等名
      錯体化学会第72回討論会
    • 関連する報告書
      2022 実施状況報告書
  • [学会発表] ルテノジチオエーテルおよびルテノジチオールを利用した異種多核錯体の合成2022

    • 著者名/発表者名
      大橋 竜馬・辻脇 実那・竹本 真・松坂 裕之
    • 学会等名
      日本化学会 第103春季年会
    • 関連する報告書
      2022 実施状況報告書
  • [学会発表] Synergy of Ruthenium and Tin in Metal-Metal Bond Formation and Catalysis2022

    • 著者名/発表者名
      Shin Takemoto
    • 学会等名
      ACS Publications Summit: Organometallics Series
    • 関連する報告書
      2022 実施状況報告書
    • 国際学会 / 招待講演

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公開日: 2022-07-05   更新日: 2024-12-25  

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