研究課題/領域番号 |
22K19069
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研究種目 |
挑戦的研究(萌芽)
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
中区分35:高分子、有機材料およびその関連分野
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研究機関 | 東京都立大学 |
研究代表者 |
久保 由治 東京都立大学, 都市環境科学研究科, 教授 (80186444)
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研究期間 (年度) |
2022-06-30 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
6,370千円 (直接経費: 4,900千円、間接経費: 1,470千円)
2024年度: 1,690千円 (直接経費: 1,300千円、間接経費: 390千円)
2023年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2022年度: 3,380千円 (直接経費: 2,600千円、間接経費: 780千円)
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キーワード | ボロン酸 / 自己組織体 / 光触媒 / 励起子 / 水素製造 / 超分子 / π共役分子 / 水素発生 |
研究開始時の研究の概要 |
有機光触媒は環境調和型のリサイクル性や加工性が見込まれる。しかし、高い励起子結合エネルギーに加えて、短い励起子拡散長が低効率化を招く。これら欠点を克服するナノ構造をいかに構築するかが挑戦的課題となる。本研究では、光照射下、π共役分子の積層や配列によってもたらされる励起子拡張に着目し、その発現に有利なボロネート自己組織体を調製する。その粒子表面に還元触媒の固定化を施すことで励起子拡張型有機光触媒を提案する。
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研究実績の概要 |
本研究では、ボロン酸の動的共有結合に基づく自己組織体形成特性をπ共役低分子の密充填化に適用し、励起子拡張性を有するボロネート自己組織体を調製する。その自己組織体の表面に白金ナノ粒子の担持をおこない、超分子光触媒機能の発現を目指す。本年度は、関連自己組織体の調製を意図した分子部品の合成を検討した。お椀型形状を有するシクロトリカテキレンはカテコール部分構造を有するので、ボロネート自己組織体の構造に有利になると判断した。そこで、n型有機半導体の一つであるペリレンジイミドにボロン酸部位を導入し、シクロトリカテキレンとの脱水縮合反応をおこなうことで、自己組織体を調製することを検討した。それぞれの分子部品の合成は成功したが、ペリレンジイミド含有ボロン酸の有機溶剤に対する溶解性が悪かったためか、脱水縮合反応が進行せず、目的の自己組織体を得ることができなかった。ボロン酸を用いない自己組織体の調製を検討している。 一方、分散性ボロネート粒子(BP)の表面を用いて、光触媒反応系の構築を試みた。粒子形成はベンゼン-1,4-ジボロン酸とペンタエリスリトールとの逐次的脱水縮合反応よりおこなった。ポリエチレンイミン共存下、塩化白金酸を用いる析出還元法をおこなった結果、白金ナノ粒子をBP表面に固定化できた。得られた白金担持ボロネート系と比較的励起寿命の長い三重項増感剤、及びアスコルビン酸を添加したエタノール水溶液に分散させ、Xe ランプ (λ > 400 nm, 100 mW cm-2) を照射した結果、水素製造が確認された。しかし、照射時間が長くなるにつれて、触媒回転頻度の低下が確認された。その原因を考察している。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
ボロン酸エステル結合を用いて、広範なπ共役面をもつドナー-π-アクセプター系の分散粒子を調製することは難しい。
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今後の研究の推進方策 |
ボロン酸を用いない自己組織体の構築を検討する。光捕集性の高いドナー-π-アクセプター色素をテーラーメイドに積層させ、キャリア移動パスを構築する自己組織体を設計している。そこに白金ナノ粒子を光還元にて固定化して、目的の光触媒系の創製を目指す。
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