研究課題/領域番号 |
22K19070
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研究種目 |
挑戦的研究(萌芽)
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
中区分35:高分子、有機材料およびその関連分野
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研究機関 | 京都府立大学 |
研究代表者 |
沼田 宗典 京都府立大学, 生命環境科学研究科, 教授 (70423564)
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研究期間 (年度) |
2022-06-30 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
6,500千円 (直接経費: 5,000千円、間接経費: 1,500千円)
2024年度: 2,080千円 (直接経費: 1,600千円、間接経費: 480千円)
2023年度: 2,080千円 (直接経費: 1,600千円、間接経費: 480千円)
2022年度: 2,340千円 (直接経費: 1,800千円、間接経費: 540千円)
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キーワード | 超分子化学 / 非平衡 / ポリロタキサン / 分子集積化学 / 超分子科学 |
研究開始時の研究の概要 |
高分子鎖が環状分子の空孔を連続的に貫通することにより創製されるポリロタキサンは次 世代のソフトマテリアルの代表格として位置づけられる。高分子鎖の断面積と環状分子の 内空孔サイズの一致がポリロタキサン形成のための必須条件となる。この制約を超えて新 たなポリロタキサン構造を生み出すことは現行の戦略では原理的に不可能である。本研究 課題では、高分子末端と環分子との間に定常的な衝突エネルギーを供給し続ける革新的な 超分子形成システムを構築する。これにより、ポリロタキサン形成の素材を本来相互作用 しない高分子/環分子の組み合わせにまで拡張し、未知のポリロタキサン材料の開発に結び つけることを目指す。
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研究実績の概要 |
本研究課題では、マイクロ流体の直線運動量を駆動力として、高分子末端と環分子との間に定常的な衝突エネルギー を供給し続ける革新的な 超分子形成システムを構築し、ポリロタキサン形成の素材を本来相互作用 しない高分子/環分子の組み合わせにまで拡張することを目指す。これにより未知のポリロタキサン材料の開発に結び つけることが最終目標である。 2022年度は環のサイズが異なる2種類のCDを用いたポリロタキサン形成を実施し、マイクロ流体中において環サイズの異なるCDのどちらがPEGと優先的にポリロタキサン形成するのかについて検討を行った。2023年度はこの実績を基に、PEG以外のゲスト高分子を用いた実験を実施し、管分子と軸高分子の組み合わせの拡張を図った。特に、立体障害を持つ高分子を新たに重合することにより、管サイズを超えた管分子(CD)の包接が起きるのかどうかについて基本的な知見を得ることを目指した。立体障害となる側鎖のサイズと数を変化させた共重合体を合成し、ガンマシクロデキストリンとの混合溶液をマイクロチャンネルに導入した。流出溶液の分光測定および顕微鏡観察の結果、包接はバイアル管を用いた場合と比較して促進されることが明らかとなった。本実験で得られたポリロタキサンは新規ポリロタキサンである。マイクロ流体中においてポリロタキサン形成が可能な高分子鎖と環分子の組み合わせを拡張できたと言える。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本課題の目的は、「マイクロ流体の直線運動量を駆動力として、未知のポリロタキサン材料を開発する」ことである。シクロデキストリン(CD)が従来包接できないゲスト高分子であってもマイクロ流体中ではポリロタキサン構造の創製が確認できた。これは本申請課題の中心テーマである「鍵と鍵穴の関係を超えたホストゲスト相互作用の創出」を具現化した結果であると言える。概ね当初の予定を達成することができたと考えている。
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今後の研究の推進方策 |
2024年度(最終年度)はこれまでの成果を基に、さらに 多様な環・高分子構造への拡張を実施していく予定である。特に2023年度に実施した立体障害を持つゲスト高分子の包接に関する研究成果を土台として、さまざまなゲスト高分子の能動的な包接にチャレンジしていく予定である。また、実践的なポリロタキサン合成法の確立という観点から、マイクロチャンネルの材質や形状などについても検討を行う。より安価で拡張性の高い反応場に関する情報を提供することにより、本課題で確立したポリロタキサン合成手法が超分子化学だけでなく材料化学分野へと浸透していくことを期待する。
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