研究課題/領域番号 |
22K19071
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研究種目 |
挑戦的研究(萌芽)
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
中区分35:高分子、有機材料およびその関連分野
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研究機関 | 慶應義塾大学 |
研究代表者 |
緒明 佑哉 慶應義塾大学, 理工学部(矢上), 教授 (90548405)
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研究期間 (年度) |
2022-06-30 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
6,500千円 (直接経費: 5,000千円、間接経費: 1,500千円)
2024年度: 1,690千円 (直接経費: 1,300千円、間接経費: 390千円)
2023年度: 2,340千円 (直接経費: 1,800千円、間接経費: 540千円)
2022年度: 2,470千円 (直接経費: 1,900千円、間接経費: 570千円)
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キーワード | 導電性高分子 / 共役高分子 / 樹脂 / ゴム / 自由体積 / 自由体積空間 / 気相重合 |
研究開始時の研究の概要 |
本研究は、身の回りのプラスチックやゴムのような高分子材料中にある、分子鎖間のすき間(=自由体積空間)で、導電性プラスチックに代表されるような共役高分子を気相経由で重合する新手法を確立することを目指す。共役高分子を汎用的な高分子材料中に分子レベルで複合できれば、均一な複合による機械的強度、気体透過性、導電性等の制御や向上により、共役高分子強化型プラスチック、高性能ガスバリアフィルム、柔軟性と導電性を両立したゴムなどの革新的な高分子材料の実現が期待できる。
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研究実績の概要 |
本研究は、樹脂やゴムなどの汎用的な高分子材料中の「自由体積空間」で共役高分子を気相経由で重合する新手法を確立することを目指している。本手法により、共役高分子を汎用的な高分子材料中に分子鎖レベルでその場・気相重合することが可能となり、均一な複合による機械的強度、気体透過性、導電性等の制御や向上により、新規な高分子材料の機能化を実現する。2023年度(2年目)は、2022年度で確立した実験手法をもとに、汎用樹脂とゴムの合計5種類の基材に、これまでと異なる複数種類の導電性高分子の複合を行った。複合した導電性高分子について、Raman分光や赤外線吸収スペクトルを使ってその構造解析を行った。いずれの導電性高分子も複合は可能であったが、用いるモノマーのサイズや揮発性(蒸気圧)によって複合量や反応速度が異なることがわかった。2023年度は、2022年度で合成した導電性高分子を複合したゴム材料の応用を試みた。ゴム材料の引張および圧縮に伴い、抵抗値が変化するため、応力あるいはひずみを抵抗値で検出することができる。そのためのサンプルおよびデバイス作製条件の最適化を行い、実際に応力応答を確認することができた。これまでのゲルに導電性微粒子を複合するような材料と異なり、ゴム自体に電気が通るようにした複合体を作製できた。さらに、本デバイスを、物質の硬さを抵抗値で見分けるセンサ材料として応用した。臨床では、力の大きさや物体の硬さの見える化が重要な場面があり、本研究ではそのためのセンサとしての応用が期待できる。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本研究の当初計画として、提案者らが予備的に発見した気相重合の制御と追究により、【課題1】自由体積空間での新しい共役高分子材料の気相重合法の確立、【課題2】反応・複合化メカニズムの理解と制御、【課題3】共役高分子複合型材料の機能開拓、を設定した。実際に、2023年度は予定していた【課題3】を進めることができ、予定通り順調に進んでいる。2024年度には、さらに別な応用事例として強化材料の作製を進める準備が整っている。
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今後の研究の推進方策 |
2023年度で、【課題1・2】はほぼ完了している。そのため、2024年度は予定通り【課題3】として、得られた共役高分子を複合した汎用樹脂およびゴム材料の応用と機能開拓の中で、機械的強度やガス透過性に着目した機能開拓を試みる。サンプル作製条件についての知見は得られているので、複合量や素材の違いによる特性の変化について調査する。
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