研究課題/領域番号 |
22K19074
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研究種目 |
挑戦的研究(萌芽)
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
中区分35:高分子、有機材料およびその関連分野
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研究機関 | 大学共同利用機関法人高エネルギー加速器研究機構 |
研究代表者 |
青木 裕之 大学共同利用機関法人高エネルギー加速器研究機構, 物質構造科学研究所, 特別教授 (90343235)
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研究分担者 |
山崎 大 国立研究開発法人日本原子力研究開発機構, 原子力科学研究部門 J-PARCセンター, 研究副主幹 (80391259)
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研究期間 (年度) |
2022-06-30 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
6,370千円 (直接経費: 4,900千円、間接経費: 1,470千円)
2023年度: 2,730千円 (直接経費: 2,100千円、間接経費: 630千円)
2022年度: 3,640千円 (直接経費: 2,800千円、間接経費: 840千円)
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キーワード | 高分子薄膜 / ナノ構造 / 機械学習 / 斜入射小角散乱 / 超解像顕微鏡 / 界面 / 高分子 / 中性子反射率 / 超解像 |
研究開始時の研究の概要 |
本研究は材料界面における高分子鎖の構造を評価可能な新しい構造解析法の開発を目指している。高分解能の超解像光学顕微鏡及び中性子反射・斜入射散乱法を開発し、計算機シミュレーション・機械学習を用いた統合的な解析を行うことで、界面での高分子鎖の振る舞いを分子レベルで評価可能な方法論を確立する。このような実空間(顕微鏡)・逆空間(中性子散乱)・仮想空間(計算機)が三位一体となった構造評価法を用いることで、界面において発現する特有の物性の起源を明らかとし、複合材料開発や接合・接着技術の開発などに貢献する。
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研究実績の概要 |
本研究は実空間・逆空間の相補的な構造解析に対して、仮想空間の手法すなわち計算機を用いた機械学習を導入することで新たな情報を見出すことを目的としたものである。本年度においては、中性子による薄膜・界面構造解析手段として、斜入射中性子小角散乱法の開発を行うとともに、ニューラルネットワークによるデータ処理技術の開発を行った。斜入射散乱法の開発については、波長0.2 ー 0.9 nmの中性子ビームに対応した集光型スーパーミラーを新たに開発・作製した。J-PARC物質・生命科学実験施設の中性子反射率系SHARAKUにおいて、その性能を評価したところ、従来の斜入射散乱測定の光学系に対して、およそ20倍の信号強度の増大を達成することができた。秩序構造を有する薄膜状の参照試料を用いて、斜入射中性子小角散乱測定の試験を行ったところ、試料の構造周期に由来するブラッグ回折シグナルを明瞭に観測することができた。一方、機械学習に関しては、逆空間実験の自動解析を実現する手法の開発を進めている。散乱・反射実験での構造解析では、ある構造モデルを仮定した上で実験データに合うようパラメータの調整を見出すことで行われてきた。本研究では、モデルの仮定を行うことなく構造情報を提示する手法を開発している。今年度では畳み込みニューラルネットワークによるディープラーニングを行った。一部の単純な構造については良好な結果を与えるものの、現状ではあまり成功しているとはいえず、さらなる精度向上が求められる。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
集光ミラーの導入によって斜入射小角散乱測定に成功し、ディープラーニングによるデータ解析の基盤を確立した。一方で、予定していた機器が導入できなかったこと、預手していた海外施設での実験が施設都合によって翌年に繰越となったため、進捗はやや遅れていると言える。
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今後の研究の推進方策 |
逆空間の実験データから構造を直接同定するニューラルネットワークモデルの最適化を行う。また、超解像顕微鏡によるデータ取得を行い、そのデータも用いた学習モデルを構築する。
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