研究課題/領域番号 |
22K19076
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研究種目 |
挑戦的研究(萌芽)
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
中区分36:無機材料化学、エネルギー関連化学およびその関連分野
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研究機関 | 室蘭工業大学 |
研究代表者 |
関根 ちひろ 室蘭工業大学, 大学院工学研究科, 教授 (60261385)
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研究期間 (年度) |
2022-06-30 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
6,370千円 (直接経費: 4,900千円、間接経費: 1,470千円)
2024年度: 1,820千円 (直接経費: 1,400千円、間接経費: 420千円)
2023年度: 1,950千円 (直接経費: 1,500千円、間接経費: 450千円)
2022年度: 2,600千円 (直接経費: 2,000千円、間接経費: 600千円)
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キーワード | 熱電変換材料 / スクッテルダイト / 超高圧 / 格子熱伝導率 / 自己充填反応 / 再生可能エネルギー / 熱電発電 |
研究開始時の研究の概要 |
熱電変換材料を用いた熱電発電は再生可能エネルギーとして重要であるが、変換効率の低さが課題である。性能向上のためには、キャリア密度の最適化と格子熱伝導率の低減が必要である。カゴ状物質のスクッテルダイト化合物は熱電変換材料への応用が期待されている。この化合物は超高圧力の印加により、カゴを形成する原子がカゴ内部に充填される圧力誘起自己充填反応を示すことが知られているが、最近、この反応により生成される自己充填相において格子熱伝導率が著しく低下することが確認された。本研究では、このような超高圧下における特異な反応に着目し、超高圧技術を駆使した熱電変換材料の性能を向上させる新たな開発手法を確立する。
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研究実績の概要 |
これまで、熱電変換材料の様々な設計指針が提案され、多くの研究が行われてきたが、熱電発電を普及させるのに必要な性能には至っていない。このような状況の中、熱電変換材料の性能を向上させる全く新しい手法を開発することは重要である。熱電変換材料の性能は、ゼーベック係数の二乗および、電気伝導率に比例し、電子熱伝導率、格子熱伝導率に反比例する。格子熱伝導率以外のパラメータは、全てキャリア濃度の関数であり、トレードオフの関係にある。そこで、キャリア濃度の最適化に加えて格子熱伝導率の低減が高性能材料開発の鍵となる。我々は、カゴ状物質であるスクッテルダイト化合物において、20 GPa 以上の超高圧力の印加により、カゴを形成する原子がカゴ内部に充填される新しい現象「圧力誘起自己充填反応」を発見し、この反応により生成される自己充填相において格子熱伝導率が著しく低下することを見出した。この自己充填相は、超高圧を利用した特殊な製造プロセスを経なければ得ることができない。本研究では、このような超高圧下における特異な反応に着目し、超高圧技術を駆使した熱電変換材料の性能を向上させる新たな開発手法を確立することを目的とした。 このような研究目的の下、本年度は、昨年度新たに開発したダイヤモンドアンビルセルを用いた高温高圧実験用加熱システムを使用し、非充填スクッテルダイト化合物 RhSb3 の放射光X線を用いた実験を行い、自己充填相に関する温度ー圧力相図を詳細に調べた。この結果をもとにマルチアンビルプレスを用いたクエンチ実験により、RhSb3の自己充填相試料の作製に成功した。さらに、RhSb3の自己充填相のX線回折実験結果を再現できるモデルを構築し、リートベルト解析により自己充填した際の実際のSbの候補位置に関する新たな知見が得られた。今後、CoSb3に関しても温度ー圧力相図を調べる予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
昨年度申請を行った高エネルギー加速器研究機構 放射光研究施設(フォトン ファクトリー)の放射光共同利用実験課題が採択され、非充填スクッテルダイト化合物 RhSb3 に関する放射光X線を利用した高温高圧実験を行った。具体的には、昨年度新たに構築したダイヤモンドアンビルセル用の高温高圧実験用加熱システムを使用し、RhSb3 の自己充填相に関する温度ー圧力相図を詳細に調べた。この結果をもとにマルチアンビルプレスを用いた高温高圧処理により、物性評価可能なRhSb3自己充填相の大型バルク試料の作製に成功した。このバルク試料を用いてゼーベック係数、電気抵抗率、熱伝導率等の熱電特性を評価し、格子熱伝導率の顕著な低減が確認された。さらに、RhSb3の自己充填相のX線回折実験結果を再現できるモデルを構築し、リートベルト解析により自己充填した際の実際のSbの候補位置に関する新たな知見が得られた。これらの成果を学術論文としてまとめ、出版することができた。
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今後の研究の推進方策 |
非充填スクッテルダイト化合物の自己充填相試料の合成に関しては、研究代表者が中心となり、マルチアンビルプレスを用いて10 GPaまでの高圧合成を行い、10 GPa 以上の超高圧実験は、研究協力者と共に、ダイヤモンドアンビルセル(DAC)により行う。DACの超高圧実験は、高度な技術力が必要となるため、研究協力者(本学技術職員の林純一氏)の協力は不可欠である。また、CoSb3, IrSb3について、詳細な温度ー圧力相図を調べ、副相を含まない純良な自己充填相の単一相を得るための最適温度、圧力条件を探索する。得られた純良な自己充填相試料の放射光X線を用いた詳細な構造解析、バルク試料を用いた熱電特性評価に加えて、核磁気共鳴実験、ラマン散乱実験などにより結晶の局所的構造、後方散乱電子回折(EBSD)による結晶粒の方位分布、集合組織、結晶相分布解析を詳細に調べ、この系の格子熱伝導率の低減機構を解明する。
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