研究課題/領域番号 |
22K19077
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研究種目 |
挑戦的研究(萌芽)
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
中区分36:無機材料化学、エネルギー関連化学およびその関連分野
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研究機関 | 東北大学 |
研究代表者 |
藪 浩 東北大学, 材料科学高等研究所, 准教授 (40396255)
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研究分担者 |
庄子 真樹 宮城大学, 研究推進・地域未来共創センター, 准教授 (70505073)
松尾 保孝 北海道大学, 電子科学研究所, 教授 (90374652)
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研究期間 (年度) |
2022-06-30 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
6,500千円 (直接経費: 5,000千円、間接経費: 1,500千円)
2023年度: 3,380千円 (直接経費: 2,600千円、間接経費: 780千円)
2022年度: 3,120千円 (直接経費: 2,400千円、間接経費: 720千円)
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キーワード | 金属空気電池 / バイオマス / 電極触媒 / 燃料電池 / ナノ血炭 / ビタミン血炭 / セルロースナノファイバー / 電気化学触媒 / レアメタル代替 |
研究開始時の研究の概要 |
本研究では、資源制約がなく、産業廃棄物として捨てられているバイオマス資源であるホヤ殻由来CNFと血粉を混合し、焼成してヘテロ元素ドープ炭素にすることで、高性能で安価なORR/OER両性触媒を実現することを目的とする。研究期間内に(1)CNFと血粉の混合比率と得られる炭素の組成制御、(2)組成とORR/OER電極触媒としての相関解明、および(3)金属空気二次電池への実装を行うことにより、次世代エネルギー材料の候補である高効率な金属空気二次電池の実現を目指す。
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研究実績の概要 |
本年度の目的は、ホヤ殻由来 CNFと血粉の混合比の変化による炭素の組成制御を行うことと、組成とORR/OER電極触媒としての相関を解明することである。まず、ホヤ殻由来セルロースナノファイバー(CNF)と血粉の混合比率を変えて焼成した「ナノ血炭」電極触媒を合成し、その組成がどのように変化するか検討を行なった。X線光電子分光の結果から、血粉のヘム鉄やタンパク、リン脂質に由来して、酸素還元反応(ORR)・酸素発生反応(OER)触媒活性に有効なFeN4構造やN、Pなどのヘテロ元素の導入が確認された。ラマン散乱測定により、得られたナノ血炭触媒がカーボンブラックと同等のグラファイト率であることも確認した。さらに、ホヤ殻由来CNFと乾燥血粉だけでなく、コバルト錯体であり、ラン藻類などに豊富に含まれるビタミンB12を混合焼成することにより、「ビタミン血炭」電極触媒を合成することに成功した。ビタミン血炭電極触媒は高いORR・OER触媒活性を示すだけでなく、水素発生反応(HER)触媒活性もあることが判明した。ORRは燃料電池や金属空気電池の放電時の正極反応であり、OERは水電解における酸素極や金属空気電池の充電反応である。また、HERは水電解の水素極反応であり、本研究で見出したナノ血炭およびビタミン血炭を電極触媒として用いることで、水素製造における水電解、水素を活用する燃料電池、次世代エネルギーデバイスとして期待される金属空気二次電池の電極反応全てに対応できる可能性が示された。次年度に向け、金属空気二次電池への実装と充放電特性の検討を進める。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
当初予定していたナノ血炭だけでなく、高いOER触媒性能とHER性能を持つビタミン血炭の合成に成功したことから、予定以上の進捗を得た。
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今後の研究の推進方策 |
今後は得られた炭素触媒のORR/OER/HER性能を、金属空気電池で使用されるアルカリ電解質下の条件において現有の回転リングディスク電極を用いて測定し、組成と性能の相関を引きづづき明らかとする。ORR/OERの各過電圧の値、およびその差であるΔE等のパラメータを抽出し、最適な組成とその性能発現の原理についてサイクリックボルタンメトリー(CV)などの電気化学測定により明らかとする。さらに、得られた電極触媒を用いて、実際に亜鉛空気二次電池への実装を行う。現有の充放電評価装置やポテンショスタットを用いて、充放電特性や駆動電圧とその容量、耐久性などを明らかとする。
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