研究課題/領域番号 |
22K19078
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研究種目 |
挑戦的研究(萌芽)
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
中区分36:無機材料化学、エネルギー関連化学およびその関連分野
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研究機関 | 東北大学 |
研究代表者 |
轟 直人 東北大学, 環境科学研究科, 准教授 (10734345)
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研究期間 (年度) |
2022-06-30 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2023年度)
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配分額 *注記 |
6,370千円 (直接経費: 4,900千円、間接経費: 1,470千円)
2023年度: 1,690千円 (直接経費: 1,300千円、間接経費: 390千円)
2022年度: 4,680千円 (直接経費: 3,600千円、間接経費: 1,080千円)
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キーワード | 水電解 / 酸素発生反応 / 貴金属酸化物 / 電極触媒 / 異方歪み / イリジウム酸化物 |
研究開始時の研究の概要 |
グリーン水素の製造法の1つとして普及が期待されている固体高分子形水電解(PEMWE)のアノード用触媒としてIr酸化物(IrO2)が多量使われている。Irは極めて希少かつ高価な元素であるため、PEMWEの普及に向けIr酸化物触媒の大幅な使用量低減が求められている。本研究では、IrO2触媒の反応活性に影響し得る構造因子として「異方歪み」に着目し、その機能を明らかにすることを目的とする。ルチル型構造を有する酸化物の単結晶ヘテロ構造モデル触媒を真空蒸着法により作製し、ヘテロ構造の酸化物種・膜厚を制御因子としてIrO2層に与える異方歪み量を変調し、IrO2のOER活性に対する異方歪みの影響を議論する。
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研究実績の概要 |
昨年度は、RuO2/MO2(M=Ir, Sn)/TiO2(110)単結晶ヘテロ構造を作製し、その酸素発生触媒特性を評価し、MO2中間層の存在がRuO2触媒の異方歪みおよび触媒活性におよぼす影響を議論した。その後、論文にまとめ、ACS Catalysis誌に掲載された(ACS Catalysis, 13, 2023, 11433-11440)。本成果はRuO2/TiO2触媒について中間層を用いて触媒機能を向上することに成功し、異方歪みの役割について明らかにした世界初のものである。 既に当初計画の目的をほぼ達成しているため、本年度はRuO2触媒中の異方歪みを制御する手法として異種元素ドーピングを検討した。異種元素としてTiを選択し、アークプラズマ蒸着法を用いTiドープRuO2単結晶薄膜を作製した。構造評価には走査型透過電子顕微鏡(STEM)、in-planeX線回折、原子間力顕微鏡、X線光電子分光法を用いた。触媒活性は窒素パージした過塩素酸溶液中で分極曲線を測定し評価した。触媒耐久性は定電流密度でのクロノポテンショメトリーにより評価した。作製した薄膜の断面STEM観察を行なったところ、ドープ元素であるTiが単結晶薄膜内に均一に固溶されていることが確認され、目的とする異種元素ドープ単結晶薄膜を得ることに成功した。また、Ti量が増加するほどRuO2単結晶薄膜内の異方歪み量が増加しており、異種元元素ドーピングにより異方歪みを制御することができた。更に、異種元素ドーピングによりRuO2薄膜のOER活性、安定性が飛躍的に向上し、異方歪み量と触媒特性との相関性が示唆された。
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