研究課題/領域番号 |
22K19097
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研究種目 |
挑戦的研究(萌芽)
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
中区分37:生体分子化学およびその関連分野
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研究機関 | 東北大学 |
研究代表者 |
小川 智久 東北大学, 農学研究科, 教授 (80240901)
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研究分担者 |
柴田 弘紀 九州大学, 生体防御医学研究所, 准教授 (80315093)
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研究期間 (年度) |
2022-06-30 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
6,500千円 (直接経費: 5,000千円、間接経費: 1,500千円)
2023年度: 2,600千円 (直接経費: 2,000千円、間接経費: 600千円)
2022年度: 3,900千円 (直接経費: 3,000千円、間接経費: 900千円)
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キーワード | ピット器官 / TRPチャネル / 加速進化 / ゲノム情報 / マムシ亜科毒ヘビ |
研究開始時の研究の概要 |
本研究は,マムシ亜科毒ヘビが特異的に持つピット器官受容体であるTRPチャネルの構造と機能,および進化を明らかにし,生物進化に基づく新規センサーデバイス開発に資する。そのため,ヒメハブゲノム解読によるTRPチャネル群の遺伝子構造と進化の解明,TRPチャネルタンパク質の機能解析,クライオ電子顕微鏡による構造解析と赤外線感受機構の解明を行う。特殊機能の作用機序の解明は,「加速進化のメカニズム 」など動物進化のパラダイム的転換を図るものとなり,本研究を挑戦的研究として進める意義がある。
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研究実績の概要 |
マムシ亜科ヒメハブ(Ovophis okinavensis)ゲノム解読によりTRPチャネル群の遺伝子構造を明らかにした。ハブの染色体レベルでのゲノム解読も進めて,それぞれの遺伝子について対応するオーソログ遺伝子を同定した。このうちピット器官に関係するTRPA1は,AUGUSTUSでのGene modelでは25エキソンからなることを明らかにした。 また,他のTRPファミリー(TRPV1,TRPV2,TRPV3,TRPV4,TRPM2,TRPM4,TRPM5,TRPM8など)を含めたゲノムでの遺伝子の比較による進化解析において,ハブゲノム解析ではPacBioロングリード(N50長15kb)55Gbを取得しアセンブリを行い、Hi-CとBionano Saphyrのデータを追加して、scaffoldingを行った。その結果、申請書に記載した染色体スケールのアセンブリには成功したが,その後のさらなるmanual curationの結果、高度に遺伝子重複を起こしている領域には、いまだ欠落が存在していることが判明した。 TRPファミリーのトランスクリプトーム 解析により,TRPファミリーのハブ組織での発現プロファイルを明らかにした。TRPA1は,ハブの胎児由来培養細胞にも他に比べて発現していることを明らかにした。AUGUSTUSでのGene modelによる推定配列とは別にTRPA1の実際の機能構造を明らかにした。 ハブTRPA1のAUGUSTUSでのGene modelによる解析データをもとに人工遺伝子を作成し,p426ADH(構成型)とp426GAL(誘導型)の2種類のプラスミドベクターに導入後,ハブTRPA1の酵母での発現系を構築し,発現を検討した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
上述のようにPacBioロングリード(N50長15kb)55Gbと、Hi-CとBionano Saphyrのデータを追加して行った染色体レベルでのハブゲノムの解析は,その後のさらなるmanual curationの結果、高度に遺伝子重複を起こしている領域には、いまだ欠落が存在していることが判明した。そのため,2023年度には,先進ゲノム支援において,Oxford Nanopore Technologies(ONT)による超ロングリード配列の取得の支援を新たに検討している。 ハブTRPA1のAUGUSTUSでのGene modelによる解析データをもとに人工遺伝子を作成し,ベクターに導入後ハブTRPA1の酵母での発現系をp426ADH(構成型)とp426GAL(誘導型)の2種類のプラスミドベクターを用いて構築したが,発現確認のための手法が不十分であった。
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今後の研究の推進方策 |
上述のようにPacBioロングリード(N50長15kb)55Gbと、Hi-CとBionano Saphyrのデータを追加して行った染色体レベルでのハブゲノムの解析は,その後のさらなるmanual curationの結果、高度に遺伝子重複を起こしている領域には、いまだ欠落が存在していることが判明した。そのため,23年度に先進ゲノム支援において,Oxford Nanopore Technologies(ONT)による超ロングリード配列の取得の支援を内容とした申請を計画している。 複雑に重複している遺伝子クラスター領域が完全に解明したゲノムアセンブリを整備することで、本科研費課題の対象であるピット(赤外線感知器官)機能の解明につながるだけでなく、ChIP-seqやATAC-seqなどの手法が可能になるため、ピットや毒腺などのハブ組織での特異な遺伝子発現調節システムの解明が大幅に推進できると期待される。 酵母での発現系構築を行なったが,実際に発現を確認するための抗体を調製するか,Flagタグ配列を導入し,酵母での発現量の解析を含めて進める。
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