研究課題/領域番号 |
22K19099
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研究種目 |
挑戦的研究(萌芽)
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
中区分37:生体分子化学およびその関連分野
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研究機関 | 埼玉大学 |
研究代表者 |
戸澤 譲 埼玉大学, 理工学研究科, 教授 (90363267)
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研究期間 (年度) |
2022-06-30 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2023年度)
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配分額 *注記 |
6,370千円 (直接経費: 4,900千円、間接経費: 1,470千円)
2023年度: 2,600千円 (直接経費: 2,000千円、間接経費: 600千円)
2022年度: 3,770千円 (直接経費: 2,900千円、間接経費: 870千円)
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キーワード | 無細胞翻訳系 / GPCR / ペプチドアプタマー / 進化工学 / プロスタグランジン受容体 / インビトロ翻訳系 / 膜タンパク質 |
研究開始時の研究の概要 |
細胞中の膜貫通型タンパク質は,基本的にトランスロコンにより目的の膜へ組み込まれる.無細胞翻訳系を利用して,トランスロコン非依存的であるにもかかわらず,オルガネラ内膜輸送体のような特定の膜輸送体が容易にベシクルへ再構成可能であることが多く実証されてきた.ここでは、N末端領域の膜挿入の律速段階をサポートする因子としてヒトAsterixタンパク質に着目し,N末端領域の膜挿入促進システムを人為的に構築し,GPCRの試験管内再構成系の汎用化を目指す.
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研究成果の概要 |
本課題では,創薬重要標的膜タンパク質GPCRの再構成系構築と, GPCR特異的に結合するペプチドアプタマーを効率的に選抜する無細胞翻訳系の構築を進めた.GPCR再構成効率の鍵を握ると想定したAsterixの解析については,自律的膜挿入能と2量体形成能などを明らかにした一方,GPCRとのキメラ分子作成による膜挿入促進効果は確認できなかった.細胞より精製したGPCRをナノディスクへ再構成し,抗体ライブラリーからGPCR細胞外領域を認識可能な8種類の人工抗体の取得に成功した.これらは実際に膵臓がんなどの細胞表層にも結合することまで確認できた.
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研究成果の学術的意義や社会的意義 |
本研究成果は,GPCRの中でも膵臓がん細胞などのマーカー候補プロスタグランジン受容体EP4に対し,細胞外領域を特異的に認識可能な人工抗体を取得できた点で,学術的・社会的意義が大きい.良質な標的分子を準備さえすれば,無細胞翻訳系にもとづく進化分子工学の手法により,創薬展開に適する人工抗体などを効率的に選抜可能になった.産業応用上のゴールは,需要が大きな創薬用人工抗体の効率的取得システムの提供であり,社会貢献に直結する成果と考えている.また,学術的にもGPCRを含む膜タンパク質の品質管理の鍵を握るAsterixの基本的な分子挙動について生化学的な知見が得られた点では進捗があったと考えている.
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