研究課題/領域番号 |
22K19108
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研究種目 |
挑戦的研究(萌芽)
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
中区分37:生体分子化学およびその関連分野
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研究機関 | 名古屋大学 |
研究代表者 |
多喜 正泰 名古屋大学, 物質科学国際研究センター(WPI), 特任准教授 (70378850)
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研究期間 (年度) |
2022-06-30 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2023年度)
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配分額 *注記 |
6,500千円 (直接経費: 5,000千円、間接経費: 1,500千円)
2023年度: 2,600千円 (直接経費: 2,000千円、間接経費: 600千円)
2022年度: 3,900千円 (直接経費: 3,000千円、間接経費: 900千円)
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キーワード | ミトコンドリア / 蛍光プローブ / 生体膜特性 / 蛍光寿命イメージング / 脂質過酸化 / ミトコンドリア内膜 / クリステ構造 / 超解像イメージング / 脂質 / 脂質酸化 / ミトコンドリア膜電位 / 定量解析 |
研究開始時の研究の概要 |
ミトコンドリア膜電位の恒常的な維持は,細胞活動に不可欠であり,この過程を理解することは生物学的に重要な課題である.最近の研究により,膜電位はクリステ毎に異なっており,それそれが独立した生体エネルギーユニットとして機能していることが示唆された.しかし,現技術ではクリステ毎の経時的な膜電位動態をリアルタイムで追跡することは不可能である.本研究では,超耐光性のミトコンドリア膜電位プローブを創製し,超解像蛍光寿命イメージングによって個々のクリステの膜電位を定量的に解析する技術を確立することを目的とする.得られる結果から,ミトコンドリア機能維持におけるクリステの独立性について検証する.
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研究成果の概要 |
環境応答性かつ超耐光性を有するミトコンドリア内膜標識剤を開発し,シングルクリステレベルでのミトコンドリア膜電位の可視化計測を目指した.開発したプローブはミトコンドリア膜の極性環境の違いを感受して,異なる蛍光寿命を与えることを見出し,単一のミトコンドリアにおいても膜特性は不均一であることを明らかにした.この不均一性は,飽和脂質と不飽和脂質の割合に起因しているものと思われる.脱共役剤によりミトコンドリア膜電位を消失させたところ,膜の流動性が著しく減少することがわかった.膜電位の変化が脂質特性の変化を引き起こし,内膜形態や機能異常を誘発することが示唆される.
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研究成果の学術的意義や社会的意義 |
独自の蛍光プローブを開発することにより,これまで計測が困難であったミトコンドリア内膜特性を評価できるようになった.ミトコンドリア膜特性は同一細胞内においても不均一であることを示した意義は大きい.膜特性と膜電位の相関性を検証することにより,細胞の生命維持活動機構について新たな知見が得られるであろう.ミトコンドリアの形態と機能は,様々な疾病と密接に関連している.本手法は遺伝子組換えを必要としないことから,ヒト細胞に対しても直接応用することでき,病態解明や病理診断にむけたツールとしての利用が期待される.
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