研究課題/領域番号 |
22K19114
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研究種目 |
挑戦的研究(萌芽)
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
中区分37:生体分子化学およびその関連分野
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研究機関 | 愛媛大学 |
研究代表者 |
座古 保 愛媛大学, 理工学研究科(理学系), 教授 (50399440)
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研究分担者 |
国末 達也 愛媛大学, 沿岸環境科学研究センター, 教授 (90380287)
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研究期間 (年度) |
2022-06-30 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
6,500千円 (直接経費: 5,000千円、間接経費: 1,500千円)
2024年度: 2,080千円 (直接経費: 1,600千円、間接経費: 480千円)
2023年度: 2,080千円 (直接経費: 1,600千円、間接経費: 480千円)
2022年度: 2,340千円 (直接経費: 1,800千円、間接経費: 540千円)
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キーワード | 内分泌撹乱性評価 / アミロイド凝集 / トランスサイレチン / 内分泌撹乱性 / 生体化合物 |
研究開始時の研究の概要 |
体内に取り込まれる化合物分子に関して、長期的に健康に影響する要因として内分泌撹乱性の評価が重要である。通常は甲状腺ホルモンの輸送タンパク質であるトランスサイレチンとの結合能を評価するが、従来法では標準物質の分離が必要、感度が不足しているなどの問題点があった。そこで本研究では凝集性タンパク質であるアミロイドβの凝集を指標とした、簡便かつ高感度な内分泌撹乱性の分析評価法を開発することを目的とする。さらに近年、研究代表者が開発している金ナノ粒子を用いた高感度分子検出法を応用し、内分泌撹乱性の高感度評価を実現する。さらに体内蓄積が明らかとなっている化合物の内分泌撹乱性評価に応用する。
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研究実績の概要 |
体内に取り込まれる化合物分子に関して、長期的に健康に影響する要因として内分泌撹乱性の評価が重要である。通常は甲状腺ホルモンの輸送タンパク質であるトランスサイレチン(TTR)との結合能を評価するが、従来法では標準物質の分離が必要、感度が不足しているなどの問題点があった。そこで本研究では凝集性タンパク質であるアミロイドβ(Aβ)の凝集を指標とした、簡便かつ高感度な内分泌撹乱性の分析評価法を開発することを目的とした。まず、TTRと目的化合物、Aβを共存させ、インキュベートした後のAβ凝集量を蛍光プローブで定量することで目的化合物のTTR結合能および内分泌攪乱性を評価することを目指した。まず、TTRによるAβ凝集への影響を、アミロイド特異的な蛍光プローブの1種であるチオフラビンT(ThT)により調べたところ、TTR濃度依存的にAβ凝集が減少したことが分かった。この結果はTTRがAβ凝集を阻害することを示している。さらに、TTR存在下との結合が強いことが知られているT4を用いて本アイデアの有効性を確立することを目指した。様々な濃度のT4をTTRとインキュベートし、Aβ凝集阻害効果への影響を調べた。その結果、T4濃度依存的にAβ凝集量が増加していた。これはT4がTTRに結合したために、Aβ凝集阻害効果が減少したためと考えられる。TTRへの結合は、T4が内分泌撹乱性を有することを示すため、Aβ凝集量を調べることで、化合物の内分泌撹乱性が評価できることが明らかとなった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
甲状腺ホルモンの輸送タンパク質であるTTRによるAβの凝集阻害効果への影響を調べることで、化合物のTTRへの結合能を評価できるという仮説を実証することができた。また、アミロイド凝集の高感度検出のための、金ナノ粒子による高感度分子検出法の開発を並行して進めた。さらに、化合物のAβなどのアミロイド凝集への影響評価を行う過程で、過硝酸がAβ凝集を抑制することを見出した。このことは、アミロイド凝集病の治療薬設計の指針になり得る。
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今後の研究の推進方策 |
今回、TTRに結合することが明らかとなっているT4存在下において、TTRによるAβの凝集阻害効果が減少したことを見出した。今後は、他の様々な化合物存在下において、TTRのAβ凝集阻害効果への影響を調べることで、化合物の内分泌撹乱性評価可能であることを目指す。
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