研究課題/領域番号 |
22K19122
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研究種目 |
挑戦的研究(萌芽)
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
中区分38:農芸化学およびその関連分野
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研究機関 | 東北大学 |
研究代表者 |
原田 昌彦 東北大学, 農学研究科, 教授 (70218642)
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研究分担者 |
保科 宏道 国立研究開発法人理化学研究所, 光量子工学研究センター, 上級研究員 (10419004)
藤井 健太郎 国立研究開発法人量子科学技術研究開発機構, 量子生命科学研究所, チームリーダー (00360404)
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研究期間 (年度) |
2022-06-30 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
6,500千円 (直接経費: 5,000千円、間接経費: 1,500千円)
2024年度: 2,080千円 (直接経費: 1,600千円、間接経費: 480千円)
2023年度: 2,210千円 (直接経費: 1,700千円、間接経費: 510千円)
2022年度: 2,210千円 (直接経費: 1,700千円、間接経費: 510千円)
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キーワード | テラヘルツ光 / 細胞核 / クロマチン / テラヘルツ波 / 放射光 |
研究開始時の研究の概要 |
クロマチンや細胞核の構造によって制御されるゲノム機能を、人為的に操作する技術の開発が求められている。テラヘルツ(THz)光はタンパク質や結合水への吸収波長帯を含み、高強度THz光によりタンパク質高次構造の変化が誘導される。我々は、高強度THz光照射が、核構造に関与するアクチン重合やクロマチン構造に影響を与えることを見出していることから、THz光による新規ゲノム機能制御技術の創出に挑戦する。
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研究実績の概要 |
本研究では、テラヘルツ光(THz光)による新規細胞機能・ゲノム機能制御技術の開発を目指している。細胞表現型や環境対応に必要なゲノム機能制御の基盤は、クロマチンや細胞核の構造変化である。これらの構造をTHz光照射によって制御することにより、ゲノム機能を制御する技術の基盤を構築することを目指している。これまでに、異なる波長、パルス幅、強度のTHz光を照射し、ピレン標識アクチン水溶液の蛍光を検出することによってTHz光照射のアクチン重合への影響をリアルタイムに解析してきた。その結果、THz光照射がアクチン重合に影響を与えることが確認できている。さらに波長やバルス幅などによってその効果が異なることも明らかになった。現在、同様な実験を精製チューブリンや再構成ヌクレオソームに対して行っている。さらに、ヒト培養細胞に対して、様々な条件でTHz光を照射し、ブレオマイシンなどの抗がん剤などで生細胞に導入したDNA二本鎖切断の修復を観察している。その結果、THz光がDNA二本鎖切断の修復を促進することを示す結果が得られている。現在は、観察されたDNA損傷修復促進という観察結果が非熱的な現象であることを確認するために、温調ステージを用いた条件設定などを行っている。また、タンパク質や細胞へのTHz光の影響を放射光を用いて解析するために、解析に用いるタンパク質や細胞の調製方法を検討し、さらに放射光の照射条件についても様々な検討を加えており、すでにいくつかの予備的な結果も得られている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
アクチン水溶液へのTHz光照射により、アクチン重合へのTHz光照射の影響が確認できていることに加え、培養細胞へのTHz光照射によって、THz光照射がDNA二本鎖切断の修復を促進することを示す結果が得られている。
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今後の研究の推進方策 |
今後は、再構成クロマチンへ構造へのTHz光照射の影響を詳細に解析する。この実験には、アクチン重合へのTHz光照射の影響が確認できた実験系を用いて、また、培養細胞へのTHz光の照射によって、THz光照射がDNA二本鎖切断の修復に作用することが示されているので、この作用がどのような分子を介したものであるかについて、解析を進める。
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