研究課題/領域番号 |
22K19126
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研究種目 |
挑戦的研究(萌芽)
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
中区分38:農芸化学およびその関連分野
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研究機関 | 筑波大学 |
研究代表者 |
田村 憲司 筑波大学, 生命環境系, 教授 (70211373)
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研究分担者 |
中塚 博子 東京農業大学, 農学部, 助教 (80826769)
長尾 眞希 (浅野眞希) 筑波大学, 生命環境系, 助教 (80453538)
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研究期間 (年度) |
2022-06-30 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
6,110千円 (直接経費: 4,700千円、間接経費: 1,410千円)
2024年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2023年度: 2,600千円 (直接経費: 2,000千円、間接経費: 600千円)
2022年度: 2,600千円 (直接経費: 2,000千円、間接経費: 600千円)
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キーワード | 土壌 / バガス廃菌床 / 炭素循環農法 / 土壌酵素活性 / サトウキビ / 土壌有機炭素量 / 土壌の化学性 / 土壌有機物 / 廃菌床 / 熱帯・亜熱帯域 / 有機農業 |
研究開始時の研究の概要 |
熱帯・亜熱帯域では、通常、土壌有機物は急速に分解され、安定化している土壌有機炭素量は非常に少ない。ところが、廃菌床を用いた炭素循環農法圃場土壌では、熱帯・亜熱帯域においても急速に土壌中の有機炭素量が増加し安定化する現象が見られる。本研究では、なぜ土壌有機炭素が熱帯・亜熱帯域でも安定に存在しうるのか、そのメカニズムを解明し、熱帯・亜熱帯域における土壌肥沃性の飛躍的向上を目的とする。土壌中の有機物の安定化により、熱帯・亜熱帯域でも土壌生産力向上が可能となった場合、農業生産性は格段に高くなることが予想される。本研究は炭素循環農法下の肥沃度促進作用に焦点を当てて、土壌生産力向上を図るものである。
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研究実績の概要 |
研究フィールドは、沖縄県石垣島にある国際農林水産業研究センター(JIRCAS)熱帯農業研究フロントである。 この研究は2つの部分に分かれており、まずポットテストは2022年5月にJIRCASの温室で開始された。 風乾した土15kgをポットに入れ、畑の水容量の約60%まで水を加えた。 ポットを 11 群(化学肥料を対照群、化学肥料 70%、化学肥料と SMS、化学肥料とバガスを使用した SMS、化学肥料とバガスを使用した滅菌 SMS、バガス;)に分けてサトウキビを栽培した。 2023 年 4 月から畑地実証試験が開始され、JIRCAS の畑地で実施した。 この畑地を15区画に分け、各区画の面積は15㎡、合計5グループ(化成肥料70%、化学肥料と生キノコ基質70%、化成肥料と堆肥使用キノコ基質70%、生キノコ)に分けた。 結果としては、4 月と 9 月の化学肥料 100% 群の β-グルコシダーゼ活性は、4 月と 9 月のバガス群を使用した 70% 化学肥料および新鮮な使用済みキノコ基質で 0.095 および 0.057 μmol h-1g-1 であった。 9 月はバガスグループを使用した 70% 化学肥料と堆肥の使用済みキノコ基質で 0.67 および 0.081 μmol h-1g-1 4 月と 9 月は 4 月のバガスグループを使用した新鮮な使用済みキノコ基質で 0.076 および 0.052 μmol h-1g-1 4月と9月のバガス群を使用した堆肥使用済みキノコ基質では、4月と9月は0.117と0.057μmol h-1g-1であった。使用済みキノコ基質も施用した群では、化学肥料を施用した場合よりもβ-グルコシダーゼ活性の低下が大きかった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
バガス廃菌床の農地還元による作物収量、農地への炭素貯留や窒素肥料削減への効果を主に圃場試験レベルで1年目の結果を出すことができた。バガス廃菌床の施用量が十分でない区があり、化学肥料区と比較してサトウキビ収量が少ない区が見られた。今年度末に、その結果を受けて、2年目の圃場試験でのバガス廃菌床の施用量を大幅に増量して、試験を開始した。 この夏には、サトウキビの成長量を確認し、年末の収量測定結果を得る日程で、最終データを取得する予定となっている。
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今後の研究の推進方策 |
2023年度4月からの圃場試験結果を受けて、2024年度では、圃場試験2年目を迎える。4月には、バガス廃菌床を施用する。施用直前には、表層土壌のサンプリングを行う。各試験圃場にバガス廃菌床を施用し、サトウキビを栽培する。栽培中期にあたる2024年9月にサトウキビの成長量を測定するとともに、土壌の諸性質、特に、土壌の化学性、物理性、生物性に及び土壌微細形態観察用の土壌試料を採取する。採取したサンプルの測定、分析及び土壌薄片の作製、微細形態観察を行う。 上記の結果より、バガス廃菌床施用効果、特に、土壌中への有機炭素貯留効果について検証する。
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