研究課題/領域番号 |
22K19128
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研究種目 |
挑戦的研究(萌芽)
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
中区分38:農芸化学およびその関連分野
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
三坂 巧 東京大学, 大学院農学生命科学研究科(農学部), 准教授 (40373196)
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研究期間 (年度) |
2022-06-30 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
6,500千円 (直接経費: 5,000千円、間接経費: 1,500千円)
2024年度: 1,950千円 (直接経費: 1,500千円、間接経費: 450千円)
2023年度: 1,950千円 (直接経費: 1,500千円、間接経費: 450千円)
2022年度: 2,600千円 (直接経費: 2,000千円、間接経費: 600千円)
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キーワード | 味覚 / 嗜好性 |
研究開始時の研究の概要 |
小さい頃の食経験は、食べ物の嗜好・忌避に大きな影響を及ぼし、食行動を生涯にわたり左右することが知られている。我々が感じる感覚のうち、味覚と嗅覚は食べ物に関する情報を検出するのに中心的な役割を担っているが、これらの感覚が食経験に応じてどのように変化し、どうやって食行動をコントロールしているのかについては、ほとんど明らかにされていない。そこで本研究では、食べ物の呈味刺激入力に対する生物の適応の様子を、モデル動物であるマウスを用いて、分子・細胞・神経回路・行動レベルで解明することを目的とする。
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研究実績の概要 |
小さい頃の食経験は、食べ物の嗜好・忌避に大きな影響を及ぼし、食行動を生涯にわたり左右することが知られている。我々が感じる感覚のうち、味覚と嗅覚は食べ物に関する情報を検出するのに中心的な役割を担っているが、これらの感覚が食経験に応じてどのように変化し、どうやって食行動をコントロールしているのかについては、ほとんど明らかにされていない。そこで本研究では、食べ物の呈味刺激入力に対する生物の適応の様子を、モデル動物であるマウスを用いて、分子・細胞・神経回路・行動レベルで解明することを目的としている。 これまでに構築した呈味刺激依存的に嗜好性変化を導くようなマウスの実験モデルを用い、呈味経験依存的な嗜好行動変化が生じた際に、中枢神経回路でどのような相違が生じているかを解析した。発達期のマウスに甘味刺激を経験させ甘味に対する嗜好性行動が変化した群と、水のみを提示したコントロール群の2群を設けた。これらマウスを一定期間飼育した後、甘味溶液を 90 分間摂取させ、その際の神経活動の程度をc-Fos発現を指標として評価した。甘味に対する嗜好性行動が変化した群においては、扁桃体および視床下部において甘味刺激後のc-Fos 陽性細胞数がコントロール群と比較して有意に増加するという結果が得られた。つまり、食経験による嗜好性の変化にこれらの脳領域が深く関わっている可能性が提示された。 一方、上記の2群のマウスに対して、甘味溶液の代わりに苦味溶液を与えた場合では、扁桃体および視床下部におけるc-Fos陽性細胞数は両群間で有意な差は認められなかった。この結果からも、前述の現象が味質特異的な現象であることが推察される。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
呈味経験依存的な嗜好行動変化が生じた際に、中枢神経回路でどのような変化が生じているかについて、その一端を見出すことができた。甘味に対する嗜好行動のみが変化するという実験モデルでの解析ではあるものの、行動変化との相関性が認められることが期待できる成果であると考えている。
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今後の研究の推進方策 |
呈味経験依存的な嗜好行動変化が生じた際に、中枢神経回路でどのような変化が生じているかをさらに詳細に解析するため、腹側被蓋野や扁桃体を経由する腹側前脳経路を対象とした神経細胞活性化の解析を実施する。この解析により、どのような要因で嗜好行動変化が生じるのかについての知見が得られることが期待される。また同定された神経細胞については、他の神経マーカーとの二重染色を行うことで、機能的な考察も行っていく。
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