研究課題/領域番号 |
22K19149
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研究種目 |
挑戦的研究(萌芽)
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
中区分38:農芸化学およびその関連分野
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
松居 翔 京都大学, 農学研究科, 助教 (80739673)
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研究期間 (年度) |
2022-06-30 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
6,500千円 (直接経費: 5,000千円、間接経費: 1,500千円)
2023年度: 3,250千円 (直接経費: 2,500千円、間接経費: 750千円)
2022年度: 3,250千円 (直接経費: 2,500千円、間接経費: 750千円)
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キーワード | グルカゴン / タンパク質 / アミノ酸 / 嗜好性 / 食欲 |
研究開始時の研究の概要 |
タンパク質と、その構成要素であるアミノ酸は、分子中に窒素を含んでいる。窒素はホルモンや酵素、情報を蓄積・保存する分子である核酸(DNA、RNA)をはじめ、体内の重要な分子の主要構成元素である。これらのことから、十分なタンパク質の摂取が生物の健康を維持していく上で重要であり、その食欲を制御する機構は、解明すべき課題である。本研究は、これまで様々な検討が行われてきたにもかかわらず、ブラックボックスとして残るタンパク質に対する食欲制御機構を、アミノ酸恒常性維持ホルモンであるグルカゴンをツールとして解明に取り組む。
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研究実績の概要 |
生命維持にとって最も重要なタンパク質に対する食欲が、エネルギー摂取とは別個に調節されていることが昔から知られているものの、その調節機序は全く未解明である。タンパク質の需給を脳に伝える代謝性シグナル、および、脳内での調節責任領域のどちらも解明されていない。 近年、主に膵臓α細胞で合成・分泌されるグルカゴンの主要かつ特異的生理作用は、アミノ酸代謝の恒常性維持であることが提唱されている。このことから、グルカゴンはアミノ酸の恒常性を維持するために、タンパク質の食欲制御に関わると着想した。そこで本研究では、未解明である「タンパク質に対する食欲」の調節機序を、グルカゴンをツールとして利用して解明することを目的とする。 本年度は、神経特異的、肝臓特異的、白色脂肪特異的、褐色脂肪特異的グルカゴン受容体(Gcgr)欠損マウスの作製と、それらマウスの内、神経特異的Gcgr欠損マウスの食行動解析を行った。神経特異的Gcgr欠損マウスは、Tau-Creマウスと、肝臓特異的Gcgr欠損マウスはAlb-Creと、白色脂肪特異的Gcgr欠損マウスはAdiponectin-Creと、褐色脂肪特異的Gcgr欠損マウスはUCP-1-CreとGcgr floxマウスを交配し作製した。まず、神経特異的Gcgr欠損マウスに対して1 mg/kgのグルカゴンを投与し、食行動解析(普通食 vs. 高タンパク質食)を行った。その結果、神経特異的Gcgr欠損マウスへのグルカゴンの投与は、コントロールマウス(Gcgr floxマウス)で認められるタンパク質嗜好性抑制効果が認められなかった。そのため、グルカゴンは脳に直接作用することでタンパク質の嗜好性を制御している可能性が示唆された。肝臓特異的、白色脂肪特異的、褐色脂肪特異的Gcgr欠損マウスは解析中である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
遺伝子組換えマウスに、予想外の変異が認められたため。
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今後の研究の推進方策 |
遺伝子組み換えマウスの予想外の変異に関しては、目的とする組換えに戻すことが出来た。そのため、今後は、遺伝子組み換えマウスの解析を進め、当初の仮説の解明に取り組む。
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