研究課題/領域番号 |
22K19153
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研究種目 |
挑戦的研究(萌芽)
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
中区分38:農芸化学およびその関連分野
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研究機関 | 広島大学 |
研究代表者 |
廣田 隆一 広島大学, 統合生命科学研究科(先), 准教授 (90452614)
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研究期間 (年度) |
2022-06-30 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2023年度)
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配分額 *注記 |
6,500千円 (直接経費: 5,000千円、間接経費: 1,500千円)
2023年度: 2,600千円 (直接経費: 2,000千円、間接経費: 600千円)
2022年度: 3,900千円 (直接経費: 3,000千円、間接経費: 900千円)
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キーワード | 藍藻 / 捕食 / 細胞形態 / 原生生物 / 微生物相互作用 / 変異 / バクテリア |
研究開始時の研究の概要 |
バクテリアは様々な環境中に広く存在し、他の微生物との相互作用を受けながら生存・死滅を繰り返し生物相の形成に貢献する。この相互作用において捕食性微生物による捕食は、バクテリアの数や生存に影響を及ぼす。申請者は、微細藻類(藍藻)の培養過程で、藍藻を捕食する原生生物がしばしば出現し、培養系に壊滅的なダメージを与えることを経験した過程で、一部の藍藻は細胞のサイズを巨大化・伸長させて捕食を免れるという現象を見出した。本研究では、バクテリアの生存戦略における細胞の巨大化メカニズムを解明し、この現象を積極的に活用することで、捕食被害を受けにくい微細藻類の効率的な培養技術の開発にも貢献することを目指す。
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研究成果の概要 |
本研究では、申請者らが発見した「原生生物の捕食圧下における藍藻の細胞形態変化」という新規現象について、二種類の捕食者-被食者モデルを用いて解析を行い、細胞伸長メカニズム、および微生物生存戦略における意義の解明を試みた。淡水性、海洋性藍藻のいずれにおいても捕食者と共培養することで、形態を変化させた変異株が出現した。これら複数の伸長変異株を単離し、ゲノムリシーケンスにより変異点を同定した。その結果、細胞形態形成や細胞壁構成に関わるタンパク質をコードする遺伝子に変異が生じていることを明らかにした。また、これらの単離株を用いた捕食者との共培養実験から、変異株は捕食抵抗性を示すことが明らかとなった。
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研究成果の学術的意義や社会的意義 |
商業利用を指向した微細藻類の屋外大規模培養では、捕食性微生物のコンタミネーションは不可避であり、実用化における大きな障壁となっている。本研究では、藍藻の形態を大きく変化させることで捕食被害を低減する手法を開発し、得られた株は実際に捕食抵抗性を有することが示された。これにより微細藻類の社会実装がより現実味を帯びてくる可能性がある。また、本研究で構築した藍藻-捕食者共培養システムは、藍藻の細胞形態形成因子の抽出、および微生物生存に関わる現象を解析することができる実験系である。現在、これまでに報告のない遺伝子が複数同定されており、細胞形態形成に関わる新たな因子が発見される可能性がある。
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