研究課題/領域番号 |
22K19157
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研究種目 |
挑戦的研究(萌芽)
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
中区分38:農芸化学およびその関連分野
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研究機関 | 福井県立大学 |
研究代表者 |
濱野 吉十 福井県立大学, 生物資源学部, 教授 (50372834)
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研究分担者 |
坂江 広基 金沢大学, 物質化学系, 助教 (00779895)
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研究期間 (年度) |
2022-06-30 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2023年度)
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配分額 *注記 |
6,370千円 (直接経費: 4,900千円、間接経費: 1,470千円)
2023年度: 3,250千円 (直接経費: 2,500千円、間接経費: 750千円)
2022年度: 3,120千円 (直接経費: 2,400千円、間接経費: 720千円)
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キーワード | バイオ医薬品 / インスリン / 経口投与 / ポリリジン / 細胞膜透過性ペプチド / ペプチド |
研究開始時の研究の概要 |
中分子・高分子医薬品の多くは、静脈内投与、筋肉内投与、皮下投与など注射剤として用いられる。頻繁な注射は患者にとって大きな負担であり、これら医薬品の経口投与による消化管吸収や鼻腔・肺での経粘膜吸収による非注射剤化は重要な研究課題である。そこで本研究では、微生物由来のポリカチオンイソペプチド(PIECE)とアニオンポリマー(AP)を用いて調製したインスリンの抱合体が消化管吸収されるか実証するとともに、本抱合法が他の生理活性ペプチドにも適用できるか検証する。
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研究実績の概要 |
タンパク質/ペプチド医薬は、分子標的への特異性が高いため現代医療において重要不可欠な医薬品である。しかし、腸管吸収性と生化学的安定性が低く、一般的に投与方法は非経口に限られる。そして、細胞膜透過性に乏しく、分子標的が細胞表層あるいは細胞外に限られる。タンパク質/ペプチド医薬の有効な経口投与法が可能になれば、患者の生活の質(QOL)を改善することができるが、消化管吸収を達成するには、胃内部の酸性環境とタンパク質分解酵素による分解に耐え、腸管内にてタンパク質やペプチドの吸収を促進する腸管吸収促進剤の併用が望ましい。当研究室では、先行研究において、ε-ポリ-L-α-リジン(ε-PαL)の高い細胞膜透過性機能を明らかにしており、polycationic isopeptide entering cell (PIECE) と呼んでいる(Commun. Biol., 5, 1132, 2022)。細胞膜透過性に優れた化合物は腸管吸収促進剤としても利用されることから、本研究では、PIECEの1つであるε-PαLを腸管吸収促進剤として利用し、タンパク質/ペプチド医薬の腸管吸収を狙った創薬モダリティの開発を試みた。 ε-PαLとポリアニオン化合物を用いタンパク質/ペプチドのポリイオンコンプレックスを調製し(PPP-complex)、pH依存的溶解性および生化学的安定性を評価した。モデルタンパク質としてBSAと蛍光タンパク質、モデルペプチドとしてヒトインスリン(HI)を用いPPP-complexを調製した。これらPPP-complexはpH依存的溶解性を示すとともに、不溶化条件では優れた消化酵素耐性を示した。興味深いことに、HI/PPP-complexをマウスに経口投与したところ、優れた血糖値下降作用を示した(特許出願済)。
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