配分額 *注記 |
6,240千円 (直接経費: 4,800千円、間接経費: 1,440千円)
2024年度: 2,080千円 (直接経費: 1,600千円、間接経費: 480千円)
2023年度: 2,080千円 (直接経費: 1,600千円、間接経費: 480千円)
2022年度: 2,080千円 (直接経費: 1,600千円、間接経費: 480千円)
|
研究実績の概要 |
我々は細胞内で天然物を生合成させ, 直接細胞に作用させる新しい遺伝子治療法を提案してきた。すなわち天然物を生産するために必要な遺伝子をヒト細胞内に導入し, 細胞自身に薬となる天然物を生合成させるものである。糸状菌Aspergillus fumigatusが産生するfumagillin (1) はメチオニンアミノペプチダーゼ2 (MetAP2) を選択的に阻害することで血管内皮細胞の増殖を阻害する強力な血管新生阻害剤で, 抗がん剤として期待された化合物である。MetAP2と1複合体のX線結晶構造解析から, 1のスピロエポキシ環がMetAP2の231番目のヒスチジン残基と共有結合しており, それにより酵素活性が阻害されることが明らかとなっている。1の誘導体はがん治療薬として期待された化合物であったが, 神経毒による副作用や, 半減期の短さなどの臨床的な制約により, 医薬品開発が断念されている。そこで我々は, ヒト細胞に1生合成遺伝子を発現させ, 1もしくはその誘導体を産生させることを目的として研究に取り組んだ。 はじめに, fma-TC, fma-P450をHeLa細胞へ導入し, 細胞内のFPPを基質とした化合物3の生合成を試みた。その結果, 3の5位が還元された天然物の立体とは逆の化合物5′の生産が確認できた。これは, 2から3への反応が進行した後, HeLa細胞内在性の還元酵素により5位カルボニル基の還元が起こり, 生成したものと考えられた。次に, 5位カルボニルの還元を担うfma-KRによる変換反応を試みた。しかしながら, fma-KRの細胞内での発現は確認できなかったため, 6位の水酸化を触媒するfma-C6Hを細胞に導入し, 化合物6′の生産を試みた。LC-MS解析から6′の生合成を確認し, さらにその生合成によって誘導されたと考えられる細胞死が認められた。
|