研究課題/領域番号 |
22K19163
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研究種目 |
挑戦的研究(萌芽)
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
中区分38:農芸化学およびその関連分野
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研究機関 | 立命館大学 |
研究代表者 |
三原 久明 立命館大学, 生命科学部, 教授 (30324693)
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研究分担者 |
青野 陸 立命館大学, 生命科学部, 助教 (80777938)
井上 真男 立命館大学, 立命館グローバル・イノベーション研究機構, 助教 (90906976)
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研究期間 (年度) |
2022-06-30 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
6,500千円 (直接経費: 5,000千円、間接経費: 1,500千円)
2023年度: 3,120千円 (直接経費: 2,400千円、間接経費: 720千円)
2022年度: 3,380千円 (直接経費: 2,600千円、間接経費: 780千円)
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キーワード | セレンタンパク質 / アーキア |
研究開始時の研究の概要 |
本研究では、アーキアをプラットフォームとすることで、その発見より50年に渡り存在していたセレンタンパク質生合成機構の「超えられない壁」を超える、革新的ヒトセレンタンパク質高生産システムの開発を行う。本研究構想は、基礎研究におけるセレンタンパク質の解析を大きく前進させると共に、産業上未開拓なセレンタンパク質の開発の扉を開くものである。さらには、アーキアのセレンタンパク質生合成システムをヒト型に変換することに挑戦し、「アーキアシステムのヒト化」という新たな合成生物学的研究のさきがけとなると期待される。
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研究実績の概要 |
ヒトの必須微量元素であるセレンは、特殊なタンパク質「セレンタンパク質」に「第21番目のアミノ酸」セレノシステイン残基 (Sec) の形でポリペプチド鎖中に挿入され、抗酸化作用など重要な生理的役割を果たす。一方で、25種類あるヒトセレンタンパク質のうち半分は機能の手がかりすら得られていない。生理学的重要性および産業利用への期待から、微生物を宿主とするヒトセレンタンパク質の高発現系構築が望まれている。しかし、セレノシステインのポリペプチドへの挿入は終止コドンを用いた特殊な翻訳機構に依存し、ヒトと真正細菌ではそのメカニズムの間に「超えられない壁」が存在するため、高発現系構築は成功に至っていない。そこで、ヒトセレンタンパク質の生産プラットフォームとしてアーキアが好適であると考え、アーキアを宿主とした高発現系構築に挑戦し、有用セレンタンパク質の量産化と機能未知セレンタンパク質の構造機能解析に向けたプラットフォームを創出することを目指した研究を行っている。真核生物のSelBホモログであるeEFSecは、SECIS結合タンパク質SBP2を介してSECISを認識することでSec挿入を可能にする。しかし、アーキアにはSBP2ホモログは存在せず、どのようにしてSECISに依存したSec挿入が行われているのか不明である。本年度は、M. maripaludisおよびもう一つの宿主候補としてMethanothermococcus okinawensisについて培養条件とプラスミド導入条件の確立を行った。また、アーキアにもSelBおよびSECISと結合する新規タンパク質aSBPが存在すると予想し、プルダウンアッセイ、RNA-seq解析を行うことでaSBP候補遺伝子を探索した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本年度は、アーキア2株の培養条件の確立にも成功し、SECISについての検討も概ね計画通りである。プルダウンアッセイ、RNA-seq解析を行うことでaSBP候補遺伝子の絞り込みも進行中である。
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今後の研究の推進方策 |
引き続き申請書の計画に沿って研究を実施する。アーキアを宿主として、ヒトセレンタンパク質を発現させ、ヒトとアーキアのSECISの配列・mRNA高次構造の違いが、セレンタンパク質合成効率にどのような影響を与えるのかを精査し、ヒトセレンタンパク質の高生産システムを構築する。
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