研究課題/領域番号 |
22K19168
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研究種目 |
挑戦的研究(萌芽)
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
中区分39:生産環境農学およびその関連分野
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
山次 康幸 東京大学, 大学院農学生命科学研究科(農学部), 教授 (40345187)
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研究期間 (年度) |
2022-06-30 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
6,370千円 (直接経費: 4,900千円、間接経費: 1,470千円)
2023年度: 2,860千円 (直接経費: 2,200千円、間接経費: 660千円)
2022年度: 3,510千円 (直接経費: 2,700千円、間接経費: 810千円)
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キーワード | リーキースキャニング / 植物ウイルス / 5'UTR |
研究開始時の研究の概要 |
真核生物では一般に1本のmRNA上に1つの読み枠(open reading frame: ORF)が存在し、1つのタンパク質が翻訳されると考えられてきた。しかし、近年のゲノム科学的研究により全体の35-50%ものmRNAにおいて実際に発現するORFの上流に数ペプチドをコードする小さなRNA(upstream ORF: uORF)が存在し、下流のORFの発現を制御していることが示唆されてきたが、その制御機構については完全に解明されていない。この課題を解決するため、本研究では植物RNAウイルスを利用して遺伝子発現制御機構の解析を行う。
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研究実績の概要 |
本研究ではuORFによる遺伝子発現制御機構の全容解明を目指し、sUTRを介したリーキースキャニングの制御機構に関する研究を展開する。今年度はsUTRの植物ウイルス間における保存状況とsUTRの機能について研究を行った。TGBpsをコードする多数の植物ウイルスについてTGBpsをコードするsgRNAの5'UTRの長さをディープシンクエンシングによる網羅的RACE法により解析したところ、いずれも10塩基以下の短い配列しか保持していなかったことからsUTRはこれらのウイルスの間で普遍的な性質であることを示した。そこで、リーキースキャニングにおけるsUTRの機能を解明するため、下流遺伝子TGBp1, TGBp2, TGBp3の発現量への影響を解析した。まず、sUTRの長さを短くしたところ、sUTR直下のTGBp1の発現量が減少し、下流のTGBp2/TGBp3の発現量が増加した。次いでsUTRを長くしたところ、TGBp1の発現量に変化はないが、TGBp2/TGBp3の発現量が減少した。sUTRの長さはそのままに配列を変化させても下流遺伝子の発現量への影響はなかったことから、sUTRの長さが下流遺伝子の発現量を調整する働きがあることを示した。これらの結果はリーキースキャニングのレギュレーターとしてこれまで知られていたKozak配列以外に、5'UTRの長さもリーキースキャニングのレギュレーターとしての働きを持つことを示唆するものである。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当初計画通り、sUTRの普遍性を明らかにし、さらにsUTRがリーキースキャニングの効率を調整する新たなレギュレーターであることを示したため。
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今後の研究の推進方策 |
sUTRがウイルス感染に果たす役割を解析するとともに、mRNAでのsUTRの分布状況などを解析する予定である。
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