研究課題/領域番号 |
22K19198
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研究種目 |
挑戦的研究(萌芽)
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
中区分40:森林圏科学、水圏応用科学およびその関連分野
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
大久保 範聡 東京大学, 大学院農学生命科学研究科(農学部), 教授 (10370131)
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研究期間 (年度) |
2022-06-30 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
6,370千円 (直接経費: 4,900千円、間接経費: 1,470千円)
2023年度: 2,210千円 (直接経費: 1,700千円、間接経費: 510千円)
2022年度: 4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
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キーワード | 性染色体 / 魚類 / 生殖パフォーマンス / 脳 |
研究開始時の研究の概要 |
我々は最近、性染色体がメス型のオスのメダカは、通常のオスよりもメスに「モテない」ことを見出した。この発見は、性染色体の構成が、オスの求愛に関する何らかのパフォーマンスを左右し、オスのモテ度に影響することを意味する。魚類では従来、性染色体構成は雌雄の生殖パフォーマンスに影響しないとされてきたが、その通説に一石を投じる可能性がある発見である。そこで本研究では、オスの求愛パフォーマンスを規定する性染色体上の遺伝子を同定することに挑戦する。
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研究実績の概要 |
我々は最近、性染色体がメス型(XX)のオスのメダカは、通常のXYのオスよりもメスに「モテない」ことを見出した。XXオスは機能的な精子を作り、外部形態や求愛の頻度も、通常のXYオスと変わらない。にも関わらず、明らかにメスから受け入れられにくいのである。この発見は、性染色体の構成が、オスの求愛行動に関する何らかのパフォーマンスを左右し、オスのモテ度(つまり、適応度)に影響することを意味する。この発見を素直に解釈すると、メダカの性染色体上に、オスの求愛パフォーマンスを規定する中枢性の(脳で作用する)遺伝子が存在することになる。そこで本研究では、その遺伝子の同定に挑戦することとした。
事前の解析で、XYオスよりもXXオスの方が求愛のダンスが下手な印象を受けていた。そこで本年度は、この印象を確かめるために、XXオスとXYオスの求愛ダンスのスピードを比較解析した。その結果、XXオスの方がスピードが遅いことが明らかとなった。さらに詳細な解析が必要だが、この結果は、事前の印象の通り、XXオスの方が求愛のダンスが下手であることを示唆しており、このことがXXオスが「モテない」原因となっている可能性が考えられた。
また、XXオスとXYオスの求愛パフォーマンスの違いを生み出す性染色体上の遺伝子を探索する目的で、性成熟した両オスの脳でトランスクリプトーム解析(RNAシークエンシング)を行い、両オスの間で発現量に差があり、かつ性染色体上に存在する遺伝子を探索することとした。これまでにシークエンシングを終え、現在、得られた遺伝子のアノテーション作業を進めている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
求愛のダンスが下手であることが、XXオスが「モテない」原因である可能性を示唆できたこと、また、トランスクリプトーム解析のシークエンシングを終えたことから、一定の成果が得られたと考えている。ただ、トランスクリプトーム解析で得られた遺伝子の数が予想よりも多く、遺伝子のアノテーション作業に時間が掛かっているため、研究全体としてはやや遅れ気味となっている。
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今後の研究の推進方策 |
引き続き、トランスクリプトーム解析で得られた遺伝子のアノテーション作業を進め、それを終え次第、候補遺伝子の解析を進めていく。
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