研究課題/領域番号 |
22K19204
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研究種目 |
挑戦的研究(萌芽)
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
中区分40:森林圏科学、水圏応用科学およびその関連分野
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研究機関 | 東京海洋大学 |
研究代表者 |
吉崎 悟朗 東京海洋大学, 学術研究院, 教授 (70281003)
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研究期間 (年度) |
2022-06-30 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
6,370千円 (直接経費: 4,900千円、間接経費: 1,470千円)
2024年度: 1,950千円 (直接経費: 1,500千円、間接経費: 450千円)
2023年度: 2,210千円 (直接経費: 1,700千円、間接経費: 510千円)
2022年度: 2,210千円 (直接経費: 1,700千円、間接経費: 510千円)
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キーワード | ヒメマス / 卵巣 / 卵 / 種苗 / 卵母細胞 / 卵黄 / 一回産卵型魚類 / 卵巣摘出 |
研究開始時の研究の概要 |
一般に卵サイズが大型の魚種は、卵黄吸収が完了した段階で大型化し、餌付け期の種苗の飼育が比較的容易である。しかし、親魚が生産する卵の大きさは種ごとにほぼ一定であり、これを人為的に大型化することは困難であると考えられてきた。ところが、最近になってギンザケの一対の卵巣のうち片側を外科的に切除すると、個々の卵が大型化することが報告された。この研究は卵黄蓄積機構の解明を目指したものであり、得られた大型卵についてはそのサイズ以外の情報は皆無である。そこで、本申請では、片側卵巣摘出後に得られる大型卵を種苗生産に用いることで、餌付け期の種苗を大型化し、種苗の初期生残の大幅な改善を目指す。
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研究実績の概要 |
卵から孵化した仔魚は卵黄中の栄養分を利用して発生・成長し、卵黄の吸収が完了する前後から摂餌を開始する。この餌付け期の飼育は種苗生産の中でも最も難しいステップであり、飼育者の技術と経験に加え、多大なる労力と時間を要する。ギンザケの一対の卵巣のうち片側を外科的に切除すると、余った卵黄成分が残された卵母細胞に過剰に蓄積し、その大きさが約1.5倍にまで成長することが報告された。そこで、本研究では、片側卵巣摘出後に得られる大型卵を種苗生産に用いることで、餌付け期の種苗を大型化し、種苗の初期生残の改善が可能かを検証することを目指した。今年度は排卵の三ヶ月前および六ヶ月前に一回産卵型サケ科魚類の一種であるヒメマス2+魚から卵巣を摘出した。これらの個体を産卵期まで継続飼育し、排卵個体を得た。未受精卵の卵径と卵重において3 月および 6 月に卵巣摘出したヒメマスが生産した未受精卵と対照区である卵巣摘出していないヒメマスが生産した未受精卵の間に有意な差はみられなかった。しかし、卵巣摘出魚は比較的安定して大型の卵を生産する傾向がみられた。また、排卵後のヒメマスの平均体長において、対照区と非対照区の卵巣摘出魚の間に大きな差はなかったが、平均体重は対照区と比べ低い値を示した。さらに、卵巣摘出したヒメマスが生産した全卵の総卵数および総卵重量は対照区の卵巣一個分よりはわずかに大きいものの、 片側卵巣を失ったぶん大幅に減少した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
卵巣摘出手術も順調に進めることができた。しかし、一回繁殖型のサケ科魚類であるヒメマスの片側卵巣摘出で得られた卵の大きさがやや大型化する傾向が認められたものの、対照区と比べて有意差は認められなかったため、今後の方針の検討が必要。
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今後の研究の推進方策 |
ヒメマスの実験では未受精卵の大型化傾向が不明瞭であるという結果に終わった。また、片側卵巣摘出区の次世代が高成長するという結果も得られていない。今後は左右の卵巣の大きさが極端に異なるアユで大きいほうの卵巣を摘出するという、より極端な状況を創出することで大型の未受精卵作出に挑戦していきたい。
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