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mRNAホルモンを用いた汎用性・実用性に優れた新しい魚類催熟法の開発

研究課題

研究課題/領域番号 22K19205
研究種目

挑戦的研究(萌芽)

配分区分基金
審査区分 中区分40:森林圏科学、水圏応用科学およびその関連分野
研究機関東京海洋大学

研究代表者

森田 哲朗  東京海洋大学, 学術研究院, 准教授 (10833684)

研究期間 (年度) 2022-06-30 – 2025-03-31
研究課題ステータス 交付 (2023年度)
配分額 *注記
6,240千円 (直接経費: 4,800千円、間接経費: 1,440千円)
2024年度: 1,820千円 (直接経費: 1,400千円、間接経費: 420千円)
2023年度: 2,470千円 (直接経費: 1,900千円、間接経費: 570千円)
2022年度: 1,950千円 (直接経費: 1,500千円、間接経費: 450千円)
キーワードmRNAホルモン / 生殖腺刺激ホルモン / 新規催熟法 / 人工mRNA
研究開始時の研究の概要

親魚の催熟には、ヒトの生殖腺刺激ホルモン(GTH)であるHCGが一般的に用いられてきた。近年では、より魚種特異的な効果を求めて、魚類の組換えGTHも検討されているが、非常に高価である。申請者は、mRNAホルモンを用いることで、種特異性とコストの両問題をクリアしうる新規の魚類催熟法を確立できると考えた。即ち、魚類GTHをコードする人工mRNAを親魚に投与し、GTHタンパク質を過剰生産させ、成熟を誘起する。人工mRNAは、外来タンパク質を細胞や生体において高効率で発現可能な手法として、ワクチン開発などで注目されている。本法を用い、全ての養殖魚に適用可能で高効率・低コストな新しい催熟技法を構築する。

研究実績の概要

養殖魚の生産効率向上に向けた親魚のより高効率な催熟法、すなわち、魚類の生殖腺刺激ホルモン(GTH)をコードする人工mRNAを用いた新手法の開発を目指す。
2022年度は、哺乳類において最も効果が高いと報告される修飾が施された人工mRNAが魚類にも効果的か否かを検証した。当研究室で日常的に継代飼育しているニベをモデルとし、ニベ黄体形成ホルモン(LH)をコードする人工mRNAを作成した。この際、哺乳類で高い翻訳効率が示されている核酸異性体であるN1-メチルシュードウリジン(Ψ)を使用した。得られたニベLH-mRNA(Ψ)を成熟したメスのニベに投与したが、催熟効果が全く見られなかった。
そこで2023年度は、Ψを用いた人工mRNAの魚類細胞における翻訳効率を確認するため、レポーター遺伝子をコードするmRNAを作成し、Ψ利用の有無によって魚類細胞におけるレポータータンパク質の発現効率が変わるか否かを調査した。具体的には、緑色蛍光タンパク質(GFP)をコードする配列と魚類組織で恒常的な発現が確認されているヒートショックコグネイト(hsc)遺伝子の3'非翻訳領域(UTR)を持つ人工mRNA「GFP-hsc」を作成した。この際、材料に通常の核酸を用いたGFP-hscと、Ψを含むGFP-hscΨの2種を製作した。これらmRNAを、ゼブラフィッシュ受精卵にマイクロインジェクション法により導入した。導入後1日が経過したゼブラフィッシュ胚を蛍光顕微鏡で観察した結果、GFP-hscΨを導入した胚におけるGFPの蛍光が、GFP-hscを導入した胚よりも顕著に弱く、魚類細胞においてはΨを含むmRNAの翻訳効率が非常に悪いことが示された。
2024年度は、Ψなど核酸異性体による翻訳効率の向上というアプローチから方向性を転換し、mRNAの化学修飾によって翻訳改善を図るアプローチによる実験を行う。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

3: やや遅れている

理由

当初高効率での発現を期待していたΨを用いた人工RNAの発現が極めて悪く、方向性を大きく見直す必要が生じたためである。ただし、これまでにΨなどの核酸異性体とは全く異なる方向性によるタンパク質の発現量向上の取組が、無細胞タンパク質発現系などを用いて多くの研究でなされているため、その中でも効果の期待できるアプローチを採用することでタンパク質発現効率の向上を目指す。例えば、ホスホロチオエート結合などによる化学修飾をmRNAの非翻訳領域に施すことで、in vitroにおいて大幅な翻訳効率向上が確認されている。これらmRNAの修飾によって、魚類細胞、且つin vivoでも効果が見られるのかを確認していく予定である。まずは、GFPをコードするmRNAに化学修飾を施した分子をゼブラフィッシュ胚に導入し、一過性発現の確認を行することで修飾の翻訳効率改善効果を確認する。続いて、成熟ホルモンをコードするmRNAに同様の修飾を施したうえで、ニベなどの親魚に投与して催熟効果を確認する。

今後の研究の推進方策

これまでに期待していたアプローチ、すなわちΨなどの核酸異性体を用いる手法では人工mRNAからのタンパク質生産効率を向上することが難しいと分かったので、全く異なるアプローチに変更する。具体的には、in vitroタンパク質発現系においてその効果が確認されている、ホスホロチオエート結合などによる化学修飾をmRNAの非翻訳領域に施すことで、魚類においても大幅な翻訳効率向上が見られるのか否かを検証する。実験方法としてはこれまでの方法を踏襲し、GFPをコードするmRNAに化学修飾を施したものをゼブラフィッシュなどを用いて一過性発現の確認を行ったうえで、成熟ホルモンをコードするmRNAをニベなどの親魚に投与して効果を確認するという流れで実験を行う。

報告書

(2件)
  • 2023 実施状況報告書
  • 2022 実施状況報告書
  • 研究成果

    (2件)

すべて 2023

すべて 雑誌論文 (1件) (うち査読あり 1件) 学会発表 (1件)

  • [雑誌論文] Polymerase chain reaction-based species identification of chub mackerel (Scomber japonicus), blue mackerel (Scomber australasicus), and their hybrids using a species-specific InDel marker2023

    • 著者名/発表者名
      Ryosuke Yazawa, Reoto Tani, Wataru Kawamura, Onur Eyuboglu, Tetsuro Morita.
    • 雑誌名

      Fish genetics and breeding science

      巻: 52 ページ: 35-42

    • 関連する報告書
      2022 実施状況報告書
    • 査読あり
  • [学会発表] 生殖腺体細胞の機能欠失を目的とした濾胞刺激ホルモン受容体遺伝子ノックアウトマサバ作出の試み2023

    • 著者名/発表者名
      山口晃生・川村 亘・木村隆志・松下芳之・矢澤良輔・森田哲朗・吉崎悟朗
    • 学会等名
      令和5年度日本水産学会春季大会
    • 関連する報告書
      2022 実施状況報告書

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公開日: 2022-07-05   更新日: 2024-12-25  

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