研究課題/領域番号 |
22K19208
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研究種目 |
挑戦的研究(萌芽)
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
中区分40:森林圏科学、水圏応用科学およびその関連分野
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
上高原 浩 京都大学, 農学研究科, 教授 (10293911)
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研究分担者 |
吉永 新 京都大学, 農学研究科, 准教授 (60273489)
金森 主祥 京都大学, 理学研究科, 助教 (60452265)
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研究期間 (年度) |
2022-06-30 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
6,370千円 (直接経費: 4,900千円、間接経費: 1,470千円)
2024年度: 2,080千円 (直接経費: 1,600千円、間接経費: 480千円)
2023年度: 1,950千円 (直接経費: 1,500千円、間接経費: 450千円)
2022年度: 2,340千円 (直接経費: 1,800千円、間接経費: 540千円)
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キーワード | セルロース / 木材 / 炭酸カルシウム / 貝殻 |
研究開始時の研究の概要 |
アコヤガイ貝殻の内側に存在する炭酸カルシウムのアラゴナイト結晶などの無機物を大半のリグニンが除去された木材細胞壁構造中に生成させると圧縮透明材料が得られるが、構造複合化および透明化機構の詳細が解明されていない。そこで本研究では、貝殻の真珠層と高等植物細胞壁の構造複合化の形成機構について詳細を明らかにした上で、更に高性能な構造複合化材料を開発する。「燃える・腐る・狂う」という木材の短所を克服する。透明材料としての性質を生かし、窓ガラス代替材料としての様々な材料特性を検討し暖房熱効率の向上を目指す。
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研究実績の概要 |
当初、脱リグニン化木材を用い、その表面反応を検討する予定であったが、単純なモデル材料として純粋なセルロースのみからなるろ紙を実験材料に用い、木材表面への多段階反応のモデルとすることとした。固体表面の反応を定量的に評価することは難易度が高いが、我々は3段階の反応、すなわち(1) セルロース表面への高反応性官能基の導入、(2) 蛍光性官能基およびアジド基が導入されたグルコースの反応、(3) アルキン基が導入されたオリゴアミノ酸の反応を行い、従来の方法よりも精密なセルロース表面反応のモニタリング法を検討した。反応は、蛍光分光光度計、ラマン分光光度計、蛍光顕微鏡により追跡し、各段階で導入された化合物の導入量を評価することとした。 (1)ではセルロースのヒドロキシ基への反応により、イソシアネート基を材料表面に導入することに成功した。(2)ではピレン残基をエステル結合でグルコース誘導体に導入することに成功した。このグルコース誘導体をイソシアネート基を介して、ろ紙表面に結合させることに成功した。(3)ではオリゴアミノ酸を固相合成装置を用いて合成し、クリック反応により(2)で得られたろ紙材料表面に結合させた。 反応段階(1)では、接触角計を用い試料表面が疎水化していること、反応段階(2)では、顕微鏡観察により蛍光性色素がろ紙表面に存在すること、反応段階(3)では、反応段階(2)により得られた材料表面より接触角が低下したことがわかった。現在、蛍光色素を用い、表面反応による表面に存在する官能基密度の定量を検討しているところである。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当初の研究計画から反応させる材料を脱リグニン化木材からろ紙に変更したが、ろ紙を利用したモデル反応により、固体表面の反応から得られるデータを解析し易くなった。そのため、結果的に固体表面に対する反応への理解が深まり、研究期間3年間のうち1年目として、順調に基礎実験を積み重ねることができたと考えているから。
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今後の研究の推進方策 |
1.引き続き表面反応の定量について、データを蓄積する。 2.脱リグニン化木材の調製を、既存の方法に加え、新しい方法を検討する。 3.ろ紙上で検討した多段階反応を脱リグニン化木材に適用する。 4.植物細胞壁の構造中に炭酸カルシウムを析出・複合化させ、炭酸カルシウム結晶の構造を調べる
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