研究課題/領域番号 |
22K19215
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研究種目 |
挑戦的研究(萌芽)
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
中区分40:森林圏科学、水圏応用科学およびその関連分野
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研究機関 | 宮崎大学 |
研究代表者 |
亀井 一郎 宮崎大学, 農学部, 教授 (90526526)
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研究期間 (年度) |
2022-06-30 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
6,500千円 (直接経費: 5,000千円、間接経費: 1,500千円)
2023年度: 3,250千円 (直接経費: 2,500千円、間接経費: 750千円)
2022年度: 3,250千円 (直接経費: 2,500千円、間接経費: 750千円)
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キーワード | マイタケ / 複合微生物系 / 微生物間相互作用 / 共存細菌 / 木材腐朽 / きのこ栽培 / 食用菌 / 食用きのこ |
研究開始時の研究の概要 |
マイタケ原木栽培で大型の高品質な子実体が生じるのは、埋設した土壌に生息する異種微生物群と相互作用ないしは共生関係を構築しているからではないかという仮説を立てた。本研究は、実際に埋設されたマイタケ原木から微生物を網羅的に解析・分離し、マイタケの菌糸成長、菌糸との相互作用、子実体形成への影響を質的・量的に明らかにすることで、新たなきのこ栽培技術の創生へと波及する可能性を模索する。
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研究実績の概要 |
マイタケ原木栽培は、玉切りした広葉樹原木に菌糸を蔓延させ、それを地中に埋設して栽培する方法である。この時、地中の細菌が原木に侵入し、マイタケと共存関係を構築すると考えられるため、白色腐朽菌による木材腐朽における細菌の役割を解析する良いモデルと考えられる。地中に埋設されたマイタケ原木から細菌を分離し、それら細菌の各種酵素活性(セルラーゼ、キシラナーゼ、キチナーゼ、プロテアーゼ、リパーゼ)を調べ、低分子リグニン分解物としてのバニリン酸の資化性、およびPDA培地上でマイタケ菌糸と対峙培養によるマイタケ菌糸伸長に及ぼす細菌の影響を解析した。すべての酵素活性を持つ細菌は得られなかったが、多糖分解酵素活性を持つ細菌株が複数存在していた。対峙培養の結果、マイタケの菌糸伸長を阻害する細菌株も存在したが、Pseudomonas属、Dyella属、Bacillus属、Priestia属に含まれるいくつかの細菌株は、PDA上での菌糸成長に正の影響を与えた。これら細菌とマイタケ菌糸との直接的な接触部を顕微鏡で観察した結果、マイタケ菌糸が細菌と接触する前にマイタケ菌糸の成長促進が起こること、マイタケ菌糸が細菌コロニーと接触すると、マイタケ菌糸側への細菌の移動が起こることが明らかとなった。マイタケ原木中の微生物群衆構造解析および機能予測によるプロファイルの結果から、セルロース分解や解糖系に関わる代謝経路が相対的に多く存在していることが明らかとなった。したがって、マイタケ原木中には、マイタケ菌糸の成長を促進する細菌と、潜在的な病原性を有する菌が共存しており、共存細菌の一部は、木材中の主成分(特にセルロース)の分解を補助している可能性が示唆された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
当初計画に沿って進められており、マイタケによる木材腐朽における細菌の役割は明らかになりつつあるが、子実体形成に対する影響は評価出来ていないため。
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今後の研究の推進方策 |
マイタケ栽培原木中の微生物群衆構造解析および分離した微生物の共培養試験から、マイタケによる木材腐朽中に、共存細菌が木材主要成分を協調的に分解している可能性が示唆された。また、マイタケ菌糸の生育に影響を与える細菌の存在と、細菌のマイタケ菌糸への移動という直接的な相互作用も明らかになった。2024年度はこれらマイタケ菌糸と細菌との関係を明確にするために、栽培期間中における原木の分解挙動を化学組成の視点から追跡する。具体的には、採取した原木サンプルの腐朽度合いを経時的に評価するとともに、採取したサンプルのセルロース、ヘミセルロース、リグニンの含有率を分析する。また、各部位のサンプル切片を作成し、顕微鏡観察により細胞壁の崩壊挙動を明らかにする。マイタケによる原木の腐朽挙動に関する詳細な研究例は無いため、基礎的な知見を蓄積することが出来ることが予想され、2023年度に明らかとなった共存細菌の性質と合わせて、考察する。一方で、上記のデータが揃ったとしても、共存細菌がマイタケによる木材腐朽に与える影響は明確にならないことも想定されるため、2023年度にマイタケ菌糸の成長を促進することが明らかとなった細菌とマイタケとを木粉培地で共培養し、木粉の重量減少およびセルロース、ヘミセルロース、リグニンの分解に与える影響を明らかにする。
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