研究課題/領域番号 |
22K19216
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研究種目 |
挑戦的研究(萌芽)
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
中区分40:森林圏科学、水圏応用科学およびその関連分野
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研究機関 | 宮崎大学 |
研究代表者 |
宮西 弘 宮崎大学, 農学部, 准教授 (30726360)
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研究期間 (年度) |
2022-06-30 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
6,500千円 (直接経費: 5,000千円、間接経費: 1,500千円)
2024年度: 1,690千円 (直接経費: 1,300千円、間接経費: 390千円)
2023年度: 1,950千円 (直接経費: 1,500千円、間接経費: 450千円)
2022年度: 2,860千円 (直接経費: 2,200千円、間接経費: 660千円)
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キーワード | 密度効果 / 密度認識 / 成長阻害 / メダカ / トランスクリプトーム / 成長 / 高密度耐性魚 / 脳内マーカー |
研究開始時の研究の概要 |
生物において、個体群の密度は成長や生存等に大きく影響します。これを「密度効果」と言います。水槽で魚を高密度で飼うと大きくなりません。養殖現場等での飼育密度の決定は、経験に依るところが大きく、適正な密度を客観的に知る方法が確立されていません。限られたスペースの中で、効率的に増養殖を行う上で、飼育密度の評価方法が求められています。しかし、魚がどのように密度を認識し成長阻害が起こるのかは全く分かっていません。そこで、メダカをモデルとし、脳における個体群密度認識および成長抑制機構を解明します。適正な密度を知る方法を確立すると共に遺伝子編集により高密度でも小さくならない魚が出来るかに挑戦します。
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研究実績の概要 |
魚類を含む生物は高密度飼育により成長が阻害されるため、適正な飼育密度の管理は重要である。昨年度、水質などの飼育条件を適正に維持しても、高密度下のメダカにおいて密度依存的な成長阻害を確認し、密度効果研究のモデルとなることを示した。また、低密度と高密度群間によるトランスクリプトーム解析およびスクリーニング解析から19の密度効果に関連が期待できる候補遺伝子を得た。本年度は、他魚類における知見を収集するため、水産有用魚種であるニジマスにおける密度効果に関する実験を行った。ニジマスにおいて、先行研究での適正とされている稚魚の飼育密度を基準に、低密度から高密度まで、段階的な密度飼育実験を行った。その結果、密度依存的な成長阻害がみられ、高密度ほど成長を阻害した。しかし、メダカとの密度とは大きく異なりニジマスは絶対的に高密度に強い魚種であることも再確認された。成長率をみると、高密度の成長阻害は実験開始1週目には生じていた。 メダカがどのように、正確に周囲の個体群密度を認識しているかに迫るため、感覚に着目し研究を実施した。密度認識に関わる感覚として、視覚・側線感覚・嗅覚が様々な魚種でも注目されている。本研究では、メダカが、わずか2匹という密度の違いも認識していることが昨年度までの結果から考えられたことから、視覚に着目した。視覚が密度認識に関わるかを調べるため、39尾/3L入れた水槽の中に6尾/2Lの小さい水槽をいれ二重の水槽を用いた疑似高密度群と、小さい水槽内のみにメダカ(6尾/2L)が入っている対照群の成長を比較した。 その結果、周囲に魚を高密度で視覚のみで認識させ疑似高密度を再現しただけであるにもかかわらず、疑似高密度群において成長阻害が確認できたことから、密度認識には視覚が重要であることを初めて示した。これまでの研究の一部をZoological Science誌に掲載した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当初の計画どおり昨年度の結果を踏まえて解析を進められた。これまで知見が皆無であった密度認識という観点の中で、魚類で初めて視覚が密度に認識に重要であることを示した。
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今後の研究の推進方策 |
ニジマスにおける高密度群と低密度群間でのトランスクリプトーム解析を実施したため、その解析を進める予定である。また、メダカにおけるトランスクリプトーム解析から得られた、19遺伝子について詳細な解析を引き続き継続する。一連の解析から、有力と考えられた遺伝子について、ゲノム編集を行い機能欠失系統の確立を行う。
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