研究課題/領域番号 |
22K19219
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研究種目 |
挑戦的研究(萌芽)
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
中区分41:社会経済農学、農業工学およびその関連分野
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研究機関 | 岩手大学 |
研究代表者 |
石村 学志 岩手大学, 農学部, 准教授 (50524815)
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研究分担者 |
阿部 景太 武蔵大学, 経済学部, 准教授 (90973793)
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研究期間 (年度) |
2022-06-30 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
6,240千円 (直接経費: 4,800千円、間接経費: 1,440千円)
2024年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2023年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2022年度: 3,640千円 (直接経費: 2,800千円、間接経費: 840千円)
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キーワード | 海洋可視化 / 機械学習 / 衛星データ / 持続的漁業 / 海洋経済 / 最大持続生物生産量 / 概念実証 / 水産資源 |
研究開始時の研究の概要 |
世界で広く使われる水産資源量指標が、漁獲努力量あたり漁獲量(Catch per Unit Effort: CPUE)である。しかしながら、CPUEを計算するための漁船ごとの漁獲量努力量や漁獲種・漁獲量情報は個人情報に帰属するため得ることが難しい。本課題は漁獲活動・漁獲種・漁獲量データの直接取得ではなく、既存の社会経済活動に蓄積され続ける、船舶の衝突回避用位置信号情報データと漁獲商取引データから①漁獲努力量情報と②漁獲情報を生成・統合し特定魚種ごとのCPUE計算から、水産資源量・最大持続生物生産量推定による広域・多魚種の水産資源可視化が可能なシステム開発をおこなう。
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研究実績の概要 |
本研究は、日本独自の経済データと漁獲行動衛星データを統合し、全球水産資源の可視化を実現するProof of Concept (POC) を目的としている。昨年度は、推定漁獲努力量データと漁獲データのリレーショナルデータベースの統合アルゴリズムを開発を推進した。今年度は、2017年から2023年までの大臣漁業許可船リスト(はえ縄漁業、底曳き漁業、まき網漁業、いか釣り漁業)や政府機関船舶情報等の個別漁船情報を収集・統合し、詳細な許可情報を持つ独自の個別日本漁船リストを作成した。 本研究の現在の推定漁獲努力量アルゴリズムは、国際海事機関(IMO International Maritime Organization)や国際水産資源管理を各海域で担う地域漁業管理機関(RFMO Regional Fisheires Management Organization)のデータベースから得られる漁業種や船舶サイズの情報から作成されたGlobal Fishing Watch(GFW) 独自の漁船情報リストと、宇宙衛星と地上局のネットワークによる船舶自動識別装置(AIS Automatic Identification System)信号の時空間的差分により推定される、 GFW個別漁船情報リストと本年度作成の個別日本漁船リストの比較により、各漁業種で7-8割の整合性を確認した。整合性を確認できた個別漁船のみでの推定漁獲努力量に絞り込むことで、推定精度の改善した。さらにこれから個別日本漁船リストを使ってGFW漁船情報リストをアップデートすることにより、推定漁獲努力量アルゴリズムを改善を図る。 本年は日本国内情報の情報との統合を確実とすることで、POCにむけて推定結果の確度を大幅に上げることができた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本年度は、昨年度の成果を国内情報によりアップデートすることで、推定漁獲努力量アルゴリズムの改善とPOCに向けた実証の積み上げを推進した。さらに、本年の成果が推定漁獲努力量アルゴリズムの改善を導くことから順調に推進していると言える。
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今後の研究の推進方策 |
本研究は、全球の水産資源を可視化することを目指した「日本独自の経済データと漁獲行動衛星データ解析の統合」に焦点を持つ。そのため、概念実証(POC)の成功は、実現可能性を証明し、実証に向けて経済的な価値を確度をもって示すことが不可欠となる。これまでの取り組みでは、リレーショナルデータベースの構築や漁獲努力量データと漁獲データの統合アルゴリズムの開発などの重要な段階を踏んできた。今年度は、国内情報の統合による精度向上や推定アルゴリズムの改善を達成してきた。今後は、外国籍漁船の情報を取り入れることで、推定漁獲努力量の精度向上を図り、以下の点を中心にPOCとしての本萌芽研究の完成を目指す。 1. データベースの拡充と精緻化:日本漁船と同一の海域で操業する外国漁船の推定漁獲努力量をデータベースに統合する。これにより、海洋可視化技術が一層進展し、全球的な水産資源の状況把握にむけたPOCを推進する。さらにこうした結果結果は違法・無報告・無規制(IUU)漁業の監視強化にも寄与し、国際的な漁業資源管理の向上に貢献してゆく可能性を導く。 2. 漁獲努力量の時間変換アルゴリズムの改良: 個別日本漁船データベースから漁獲努力量推定アルゴリズムの精度向上により、漁業活動に応じたより正確な漁獲努力量データを得ることを目指す。 3. 社会的インパクトの派生研究の推進: 引き続き派生研究により北朝鮮ミサイル着弾域・衛星発射での日本漁船の危険性さらに、排他的経済水域での洋上風力発電の法整備が進んだことから政策推進・実施のための研究成果の提供など、社会的に重要な成果を出してゆく。 これらの取り組みにより、本研究はる全球水産資源の可視化のPOCの確立を目指す。さらには、本研究の経済的な価値創出の可能性を確度をもって提示することで、萌芽研究から次の研究段階への展開を目指す。
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