研究課題/領域番号 |
22K19221
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研究種目 |
挑戦的研究(萌芽)
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
中区分41:社会経済農学、農業工学およびその関連分野
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研究機関 | 新潟大学 |
研究代表者 |
下保 敏和 新潟大学, 人文社会科学系, 准教授 (30377171)
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研究分担者 |
近藤 直 京都大学, 農学研究科, 教授 (20183353)
長谷川 英夫 新潟大学, 自然科学系, 教授 (80292514)
友部 遼 東京工業大学, 環境・社会理工学院, 助教 (90880005)
斎藤 嘉人 新潟大学, 自然科学系, 助教 (90964990)
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研究期間 (年度) |
2022-06-30 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
6,500千円 (直接経費: 5,000千円、間接経費: 1,500千円)
2024年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
2023年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2022年度: 3,510千円 (直接経費: 2,700千円、間接経費: 810千円)
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キーワード | ダイズ / 蛍光 / 蛍光画像 / リアルタイムモニタリング / 光合成活性度 |
研究開始時の研究の概要 |
ダイズを対象とし,クチクラ層に変化を与える病害,茎葉表皮に変化を与える虫害および表皮細胞が有するクロロフィルや色素の変化を蛍光反応で検出する。光合成産物量を算出し,3次元光合成・拡散・変形連成モデルを作成し,現実とリンクした3次元サイバーダイズを生成する。FSM-FEMにより,植物の代謝と構造の両パラメータの更新が可能なモデルとし,そのモデルに一般的な環境パラメータと共に,蛍光画像データをリアルタイムで投入することで,モデルパラメータを再構築し,実在ダイズ群落とリンクを保持しながらの生育状況をシミュレーションにより未来予測を行ない,病気の予兆と虫害を区別しつつ超早期に発見する。
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研究実績の概要 |
ダイズ品種としてエンレイを用い、条間70cm株間30cmにて栽培を行なった。区画は2つに分け、施肥区と無施肥区を設定した。健康な葉と葉焼け病の葉について、蛍光画像およびEEMの測定を行なった。また、生育中にサンプリングにより、分枝数と分枝長、各枝の葉数ならびに葉面積の計測を行なった。 励起波長365nmにおける蛍光画像と白色LEDによる通常のカラー画像を取得した結果、葉の健康な部分はクロロフィル蛍光により赤味を帯びた色になるが、病気になると赤色が少なくなり、病気が進んで枯死に至ると白くなることが確認できた。また、枯死部分が大きくなると、枯死部分が抜け落ち、穴が空く。この穴は、虫の食害痕に比べ小さいことと、周辺に枯死部分が残ることから、区別が付く可能性があるが、その方法は検討中である。 EEMは、励起波長を200-600nmの範囲で5nm間隔で、励起波長を210-750nmの範囲で1nm間隔で、フロントフェイス用セルに葉を切り取って入れ、測定を行なった。病気になるとクロロフィル蛍光であるEm690nm付近の蛍光強度が小さくなる傾向が観測できた。また、Ex420/Em460付近に、病気になると蛍光のピークが見られる場合があった。ただし、病気の程度を定量化するには至っていない。 登熟期に6株のサンプリングを行い、分枝ごと分解し、さらに葉と茎に分解した。分枝は、その長さと最大及び最小系の測定を行なった。また、分枝ごとの葉の写真を撮影し、葉の画素数を数えることにより、葉面積を求めた。生育量シミュレーションの基礎パラメータとして利用する予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
夜間の画像撮影により、外光の影響が少ない傾向画像を撮影する予定であったが、意図せず人口光が入る場合があること、夜露により撮影機材が結露すること、風により撮影対象が揺れることにより、屋外で良好な蛍光画像を撮影することが難しかった。そのため、撮影方法を変更して、撮影領域を暗幕で覆い、外光並びに風を防ぐような移動式の小さな暗室を用意して撮影する準備を行なっている。 上記の通り、計測部分の装置の試作実験が遅れているが、生育量などの基礎データの取得は予定通り行なうことができた。
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今後の研究の推進方策 |
まず、計画変更により遅れている安定した蛍光画像の取得方法を確立することを、直近の重要課題として設定する。照明波長は、当初予定通り365nm、410nm、白色LEDとする。ただし、当初1台の近接カメラで3つの照明すべての撮影を行なう予定であったが、励起光が410nmの時、紫外線カットフィルタでは410nmの励起波長を十分にカットすることができないため、365nm光源の時は、カットオフ波長410nmのUVフィルタを、410nm光源の時はカットオフ周波数480nmの黄色フィルタを使うことにし、フィルタの付け変えを行なわずに迅速に撮影するため、2台のカメラで撮影する。変更した撮影方法により安定に蛍光画像が撮影できた場合には、週に1回撮影を行なう予定であるが、さらに撮影方法の変更が必要ないか、よく検討することとする。 また、2年目の本年度は、実験区を防除区と無防除区に分け、大きく病気の発生状況が異なる区画での基礎データの取得を行なう予定である。健康時と病害発生時の生育量の違いをパラメータ化をすることを目標とする。また、虫による食害のような突発的なバイオマス量の変化を捉えることと、突発的なバイオマス量の変化による生育パラメータの変動を定量化することを目標とする。 3年目に、2年目までに得られたパラメータにより、蛍光画像データとリンクしたサイバーダイズを構築し、モデルの評価を行なう予定である。
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