研究課題/領域番号 |
22K19222
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研究種目 |
挑戦的研究(萌芽)
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
中区分41:社会経済農学、農業工学およびその関連分野
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研究機関 | 神戸大学 |
研究代表者 |
井上 一哉 神戸大学, 農学研究科, 教授 (00362765)
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研究期間 (年度) |
2022-06-30 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
6,370千円 (直接経費: 4,900千円、間接経費: 1,470千円)
2024年度: 1,690千円 (直接経費: 1,300千円、間接経費: 390千円)
2023年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
2022年度: 3,120千円 (直接経費: 2,400千円、間接経費: 720千円)
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キーワード | 地下ダム / 人工知能 / 機械学習 / 管理技術 / 硝酸態窒素 / 数値解析 / 原位置実験 |
研究開始時の研究の概要 |
地下ダムは,地下水脈を堰き止めて貯水する水利施設であり,農業用水の安定確保に貢献している.一方で,農業活動の活性化と地下水循環に伴う硝酸態窒素濃度の上昇に対する柔軟かつ効果的な対策が急務である.本研究では,地下ダム湖の窒素濃度変動を予測しつつ,現況と将来の濃度レベルをライトアップで周知できる人工知能(AI)の開発にある.具体的には,喜界島地下ダムを舞台として,機械学習による地下ダム湖の硝酸態窒素変動のAI予測,数値解析による農地の汚染ポテンシャルマップ作成,地下ダムのライトアップによる水質警戒アラートを実践する.観測・知能・予測・行動を循環する研究であり,農業活動と水質保全の両立を果たす.
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研究実績の概要 |
地下ダム湖における地下水質の修復には多大な時間とコストを要する.そのため,地下ダム供用中に濃度上昇の可能性を予測できるならば,汚染が顕在化する前に汚染予防対策を実行できる.そこで本研究では,硝酸態窒素の濃度変動の予測と警戒レベルの可視化を人工知能にて実現することに取り組んだ. 宮古島の地下ダム群にて定期的に観測されている水質データを追加収集するとともに,喜界島の地下ダム湖にて水質計測を実施した.人工知能の説明変数として,硝酸態窒素以外の水質項目と計測開始日からの経過日数を設定し,目的変数である予測対象日の硝酸態窒素濃度を観測点ごとに予測するシステムの構築を試みた.機械学習にはExtremely randomized treesとRandom forestを採用して,性能を比較したところ,若干ではあるがExtremely randomized treesの方が安定した予測結果を導くことがわかった.この点はアルゴリズムと水質変動パターンの相性も関連しており,過学習や精度低下を招く水質項目を明らかにした.また,人工知能の性能向上を図るべく,季節変動について特定したところ,明確な季節性は生じておらず,現状としては季節変動をシステムへ組み込む必要性は低いと判断した. 次に,地下ダム流域の硝酸態窒素濃度予測に基づき,現状と将来の警戒レベルを色で周知する硝酸アラートを発信する人工知能を開発した.アラートの可視化を目的として,発信色と濃度を仮定し,たとえば,予測濃度に応じ青,黄,赤として,発信物体に現状と将来の予報を可視化できるよう,昨年度までの発信マップを再構成した.その結果,半年後予報では,局所的な観測点において硝酸態窒素の将来濃度が大きく見積もられる安全側の予報が見られたものの,上・中流域での予報は実際の結果と概ね一致する傾向に変化はなかった.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
前述のように,当該年度は,2つの研究テーマを軸として,研究を遂行してきた.宮古島の水質データに加えて,喜界島の水質データについても調査することで対象サイトを拡大することができた.前者の予測モデルをベースとして後者の予測モデルの開発を進めている段階である.基本的には,機械学習と人工知能の創生として,観測データの収集から学習方法,確率モデルの構築,予測に至る一連の流れを構築することができており,宮古島のデータについては硝酸態窒素濃度の予測に貢献度の高い水質項目を明確にすることができた.また,人工知能の性能向上を図るべく,季節変動について特定したところ,明確な季節性は生じておらず,現状としては季節変動をシステムへ組み込む必要性は低いと判断した.さらに,実サイトでの現状と将来の警戒レベルを色で周知する硝酸アラートを発信するシステムのベースを改めて築くことができた.喜界島と宮古島の島内において,定期的な水質計測を進行しているところである.以上のことより,総合的に判断すると,おおむね順調に進展していると評価した.
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今後の研究の推進方策 |
今後の研究推進の方策としては,これまでの成果をベースとして,下記の2点を軸に研究を進めていく予定である. 1点目は,警戒アラートの実用的な発信方法を考究することである.実サイトへの実装を視野に入れて,発信方法や場所の精査など,流域管理に貢献しうる方法論に取り組む.2点目として,硝酸態窒素濃度の空間分布を評価する方法論の構築である.時系列予測に加えて,現状の空間分布を把握しつつ,将来の空間分布推定に接続できるようなシステムを開発する.確率統計論を援用しながら流域の水質管理に有用となりうる数値モデリング・人工知能を組み上げる. いずれの研究テーマについても,これまでの成果を基盤に据えて,さらに発展した成果を上げることが期待でき,合理的・効率的なダム管理に資する成果を創出する.
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