研究課題/領域番号 |
22K19226
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研究種目 |
挑戦的研究(萌芽)
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
中区分41:社会経済農学、農業工学およびその関連分野
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研究機関 | 山口大学 |
研究代表者 |
荊木 康臣 山口大学, 大学院創成科学研究科, 教授 (50242160)
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研究分担者 |
佐合 悠貴 山口大学, 大学院創成科学研究科, 准教授 (20648852)
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研究期間 (年度) |
2022-06-30 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
6,240千円 (直接経費: 4,800千円、間接経費: 1,440千円)
2024年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2023年度: 2,990千円 (直接経費: 2,300千円、間接経費: 690千円)
2022年度: 2,210千円 (直接経費: 1,700千円、間接経費: 510千円)
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キーワード | 群落内環境 / 群落内照射 / PPFD / 投影葉面積比 / iOSアプリ / 栽植密度 / 人工光型植物工場 / 補光 / 動的制御 |
研究開始時の研究の概要 |
本研究は、人工光型植物工場において、栽植密度を最大限に高めて、栽培面積あたりの生産効率の向上をめざすものである。密植に伴う栽培環境の悪化を群落内環境制御により改善することで、栽培面積あたりの(品質を考慮した)収量を評価指標に、栽植密度の最適化を試みることを目的とする。光を常時、群落上部から照射するという固定概念を捨て、群落への光分配を動的に制御するという独自の発想に基づき、人工環境の自由度を最大限にいかした柔軟な環境制御を試行する。本研究の根幹には、「密植時の生育抑制は、制限要因であるリソースの供給で改善できるか」という学術的な問いがあり、この問いの結果として「栽植密度の最大化」に挑戦する。
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研究実績の概要 |
本研究では、植物工場において、栽植密度を最大限に高めて、栽培面積あたりの生産効率の向上をめざすことを目標に、密植に伴う栽培環境の悪化を群落内環境制御により改善することで、栽培面積あたりの収量を評価指標に、栽植密度の最適化を試みることを目的としている。 2023年度は、昨年、その有効性の可能性が示唆された密植時の群落内補光方法、すなわち、密植時に個体間の相互遮蔽が起こり始めた段階で光源の一部を群落内に移動する方法の効果を確認し、照射条件を最適化するために、光源の種類および栽培パネルにおける株の配置を変え、栽培試験を行った。その結果、等間隔に株を配置したパネル(株間10.5cm、95株m-2)を用いて、光源を分散配置できる点光源からなる白色LEDテープライト(19.2 W、LED間隔約0.8 cm)を利用して群落内照射を行った場合、群落内照射を行わない密植区に対して、個体平均生体重が有意に大きくなり、試験区内でのばらつきも他の密植群落内照射区と比べ小さくなり、さらに、単位面積当たりの生産量は、対照区(65株m-2)に対して、約35 %増加した。以上、分散配置が可能な光源で群落内照射をすることで生産効率が向上する可能性が示唆された。なお、群落内への光の浸透を期待して密植時に緑色光を照射した場合は、明確な影響は認められなかった。さらに、群落内照射の生理状態への影響として、光合成光化学系2の量子収率をクロロフィル蛍光により測定したが、密植もしくは群落内照射による明確な影響を認めらなかった。一方、収穫物の色やクロロフィル含量、さらに形状が、密植により変化する可能性が示唆された。 密植時の個体の成長速度の非破壊解析手法については、栽培面の上部から撮影した画像を利用して、AI画像解析技術を用いて投影面積を推定する手法を確立し、投影葉面積比を自動で計測するiOS用のアプリを作成した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
今年度は、密植時の光環境制御法として、群落内照射の有効性を確認でき、また、どのような光源を使うべきかに関しても知見を得ることができた。さらに、非破壊生育モニタリング法として、投影面積比の簡易計測法も確立できた(iOSアプリを開発した)。
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今後の研究の推進方策 |
最終年度である次年度では、栽植密度を変えながら、群落照射のタイミングを含めた光照射条件の最適化を図ると同時に、収穫物の品質の評価を行い、密植の効果(単位面積当たりの生産量の増加)を最大限引き出すための方法を見出す。品質評価に関しては、色、形状に加え、食味試験も行う予定である。
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