研究課題/領域番号 |
22K19237
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研究種目 |
挑戦的研究(萌芽)
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
中区分42:獣医学、畜産学およびその関連分野
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研究機関 | 群馬大学 |
研究代表者 |
堀居 拓郎 群馬大学, 生体調節研究所, 准教授 (00361387)
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研究期間 (年度) |
2022-06-30 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
6,500千円 (直接経費: 5,000千円、間接経費: 1,500千円)
2023年度: 3,250千円 (直接経費: 2,500千円、間接経費: 750千円)
2022年度: 3,250千円 (直接経費: 2,500千円、間接経費: 750千円)
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キーワード | 4倍体 / 4倍体マウス |
研究開始時の研究の概要 |
4倍体の哺乳類は発生初期に致死となる。我々はp53遺伝子の機能を破壊すると4倍体発生が継続することを明らかにしたが、4倍体マウスの胎仔の生殖巣では、配偶子の起源である始原生殖細胞がほとんど形成されていないことが分かってきた。このことは、マウスには個体発生のみならず、配偶子形成においても、倍数性異常の品質管理機構が存在することを示唆している。脊椎動物はこれまで2回の全ゲノム倍加(WGD)を繰り返すことで進化してきた。本来ゲノムが倍加することは、生存戦略としてメリットは多いはずだが、なぜ哺乳類は4倍体の発生や配偶子形成能力を捨ててしまったのか?本研究は、その進化的意義を明らかにするものである。
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研究実績の概要 |
4倍体の哺乳類は発生初期に致死となるため、そもそも生まれてこない。我々はp53をノックアウト(KO)したマウスでは4倍体発生が継続することを発表した(Sci Rep 2015)。驚いたことに、この4倍体マウスの胎仔の生殖巣では、配偶子の起源である始原生殖細胞がほとんど形成されていないことが分かってきた(Horii et al., 投稿準備中)。このことは、マウスには個体発生のみならず、配偶子形成においても、倍数性の品質管理機構が存在することを示唆している。両生類などの下等脊椎動物では、これらの倍数性チェック機構は存在していないことから、この機構は哺乳類など高等脊椎動物が進化的に獲得した機構である可能性がある。本研究では、まずマウス配偶子形成における倍数性異常に関する品質管理機構に関わる遺伝子を明らかにする。次に、この機構をゲノム・エピゲノム編集技術で取り払うことにより、哺乳類で初めての4倍体由来の配偶子を創出し、さらには累代飼育できる4倍体マウスの作出をめざす。 2022年度は4倍体と2倍体で網羅的発現解析およびDNAメチル化解析による比較を行うことを予定していた。しかし、サンプル数が予想より少なかったため、まずはDNAメチル化解析を優先して行った。網羅的メチル化解析の結果、4倍体で2倍以上メチル化率が上昇した領域が39、逆に半分以下に減少した領域が217あることが明らかとなった。現在、過去の文献などと照らし合わせながら、この中から有力な候補領域を選抜している。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
2022年度は発現とDNAメチル化の網羅的解析を予定していたが、サンプルが予定より少なかったことから、DNAメチル化解析を優先して行った。
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今後の研究の推進方策 |
前年度実施できなかった網羅的発現解析を実施する。また、本研究で明らかとなった倍数性管理機構に関わる候補遺伝子(遺伝子X)をゲノムあるいはエピゲノム編集することで、この機構が機能しなくなり、始原生殖細胞が形成されるようになるのか検証実験を行う。遺伝子Xの影響をゲノム・エピゲノム編集により取り払った4倍体マウスを作製する。あるいは、こうして作製した4倍体胚からES細胞を樹立して、生殖系列キメラを作製する。遺伝子XのKOにより個体発生が途中で停止する場合は、胎仔の生殖隆起を回収し、腎皮膜化へ移植することで生殖細胞を成長させる。倍数性管理機構を乗り越えた配偶子を得ることができれば、配偶子の核相、形態、運動性(精子の場合)を確認する。最終的に、4倍体由来配偶子どうしを体外受精により掛け合わせることにより、受精能や発生能を調べ、次世代の4倍体マウスが得られるのか検証する。
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