研究課題/領域番号 |
22K19253
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研究種目 |
挑戦的研究(萌芽)
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
中区分42:獣医学、畜産学およびその関連分野
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研究機関 | 琉球大学 |
研究代表者 |
新川 武 琉球大学, 熱帯生物圏研究センター, 教授 (50305190)
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研究分担者 |
玉城 志博 琉球大学, 熱帯生物圏研究センター, 助教 (00720822)
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研究期間 (年度) |
2022-06-30 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
6,370千円 (直接経費: 4,900千円、間接経費: 1,470千円)
2024年度: 1,690千円 (直接経費: 1,300千円、間接経費: 390千円)
2023年度: 1,820千円 (直接経費: 1,400千円、間接経費: 420千円)
2022年度: 2,860千円 (直接経費: 2,200千円、間接経費: 660千円)
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キーワード | 正二十面体ウイルス / ノンエンベロープウイルス / 神経壊死性ウイルス / 分子足場(molecular scaffold) / Shell domain / Protrusion domain / T=3 正二十面体ウイルス |
研究開始時の研究の概要 |
本研究が提案する「Scaffold粒子形成法」は、本来、構造的に粒子形成しないタンパク質やドメイン構造等をVLPを模した粒子構造にまで組み上げることで、3量体構造を取ることが限界であった標的抗原のワクチン機能を格段向上させることを狙ったものである。例えば、多くのエンベロープウイルス表層には細胞侵入に必要なリガンド分子が存在し、それらが理想的なワクチン標的となる場合が多いが、原則、天然ウイルスの脂質膜上でしか3量体形成しない。よって、このような標的分子を単に発現させるだけでは、3量体形成が限界だが、「Scaffold 法」なら原理的に全ての3量体形成タンパク質等を粒子化可能である。
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研究実績の概要 |
本研究の目的は、本来3量体構造を取るタンパク質やドメイン構造を粒子状に再構築する技術の確立である。特にウイルス表層抗原には3量体構造を取るものが多く、それらを粒子形成させることで、その免疫原性は飛躍的に向上することが期待できる。この目的を達成するため、三角形分割数 T=3 正二十面体構造を有し、かつshell domain(S ドメイン)と protrusion domain(P ドメイン)が短い柔軟性の高いリンカーで繋がれたベータノダウイルス属に属する神経壊死性ウイルス (Nervous necrosis virus: NNV)の Sドメインを3量体抗原の“分子足場 (Molecular scaffold)”とし、任意の異種抗原を搭載した状態で粒子形成させる技術を確立する。 特にSドメインに3量体形成コイルドコイル分子 (CMP) を融合させた場合、NNV様粒子を形成することが示された。一方、Sドメイン単独では粒子形成しないことも分かった。よって、この結果はPドメインや他の3量体形成ドメインがSドメインの3量体形成の核として機能し、その後、粒子形成することを示唆している。さらにこの結果は、Pドメインを任意の3量体形成ドメインと置き換えても粒子形成可能なことを示している。以上の結果は、Scaffold 法が3量体構造をもつ異種抗原に対し、適応できる可能性を示唆しているといえる。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
これまで、Sドメインに3量体形成コイルドコイル分子を融合させた場合、NNV様粒子を形成することが示され、Pドメインを任意の3量体形成ドメインと置き換えても粒子形成可能であることを示した。この結果は、Scaffold 法が3量体構造をもつ異種抗原に対し、適応可能なことを示唆している。ただし、今後、Scaffold粒子の精製法を確立する必要があり、総合評価として、「おおむね順調に進展している。」とした。
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今後の研究の推進方策 |
本事業期間中に異種病原体由来の3量体抗原を搭載したScaffold粒子の精製法を確立する必要がある。また、その粒子の免疫原性や感染防御能を解析する必要がある。特に鶏の産卵低下症候群 (EDS) ウイルス(アデノウイルス)ファイバータンパク質ノブドメインをモデル抗原としてScaffold 法で粒子形成させたものを効率よく精製する方法を確立する。
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