研究課題/領域番号 |
22K19256
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研究種目 |
挑戦的研究(萌芽)
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
中区分42:獣医学、畜産学およびその関連分野
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研究機関 | 北里大学 |
研究代表者 |
筏井 宏実 北里大学, 獣医学部, 准教授 (80327460)
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研究分担者 |
岩月 正人 北里大学, 感染制御科学府, 教授 (70353464)
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研究期間 (年度) |
2022-06-30 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
6,240千円 (直接経費: 4,800千円、間接経費: 1,440千円)
2024年度: 2,860千円 (直接経費: 2,200千円、間接経費: 660千円)
2023年度: 1,690千円 (直接経費: 1,300千円、間接経費: 390千円)
2022年度: 1,690千円 (直接経費: 1,300千円、間接経費: 390千円)
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キーワード | ハマダラカ / 卵形成 / マラリア / ベクターコントロール / 環境負荷低減 / 卵形成抑制 / 腸内細菌 |
研究開始時の研究の概要 |
マラリア感染症の伝播を抑制することを最終目標として、容易かつ低予算でハマダラカの発生をコントロールできる方法を編み出す研究である。これまでの研究より、ある特定の腸内細菌が放出する熱耐性化合物は蚊の卵黄タンパク質前駆体の発現を抑制し、卵形成を抑制する作用があった。これらのことから、その化合物の分離同定、抑制機序の詳細解明、環境への影響低減を考慮しつつ特定細菌を環境中や環境水よりハマダラカに摂取させる方法の最適化を試みる。
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研究実績の概要 |
マラリアは、ハマダラカ類の蚊によって媒介される世界で深刻な昆虫媒介性感染症である。マラリアの患者や死者の多くがアフリカの貧困な農村地帯に生活している状況から、容易かつ低予算でハマダラカの発生をコントロールできる方法が求められている。 本研究は、環境への影響に考慮した、容易かつ低予算でハマダラカの発生をコントロールできる方法を編み出すことを最終目的として実施されている。これまでの研究結果より、①ハマダラカの卵形成抑制物質は、Methylobacterium sp.が放出する熱耐性化合物である。②Methylobacterium sp.は血液消化に影響を与えない。③Methylobacterium sp.は吸血後24時間における卵黄前駆タンパク質(Vg)のmRNA発現量に影響を与えた。これらの結果より、Methylobacterium sp.は脂肪体でのVg合成および卵巣へのVg取り込みに影響を与える可能性が考えられた。 次に、Methylobacterium sp.菌懸濁液を摂取させた蚊の菌の体内分布をPCR法にて検討したところ、菌は卵巣に多く分布していた。卵巣に多く分布したことから介卵伝播する可能性を検討したが、産卵された卵からはPCR法にて菌の検出はされなかった。以上より、菌は介卵伝播しないことが確認された。さらに、ボウフラ(幼虫)を菌懸濁液添加飼育水にて飼育して菌を摂取させたボウフラから鬼ボウフラ(蛹)、成虫まで発育させて、菌の経発育期伝播について検討したが、経発育期伝播についても行われないことが確認された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
研究計画通り、菌種の特定および卵形成抑制に関与するホルモン動体、菌の体内分布および伝播様式を絞り込めたので、研究はおおむね順調に進行していると考える。
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今後の研究の推進方策 |
本年度までに、ハマダラカの中腸内細菌Methylobacterium sp.が卵巣内の卵成熟を抑制することを初めて明らかにした。加えて、卵成熟抑制の原因物質が本菌由来の耐熱性物質であり、卵成熟過程においてVgの脂肪体における合成および卵巣への取り込みに影響を与えている可能性が考えられた。さらに、菌は卵巣に多く分布し、介卵伝播および経発育期伝播はしないことがあきらかとなったことから、今後、Methylobacterium sp.によるハマダラカの卵成熟抑制のさらなる機序解明および卵成熟抑制の原因物質が同定を試みるとともに、Methylobacterium sp.のハマダラカへの菌摂取法の検討および環境への影響に着目した応用利用に向けた検討も試みる予定である。
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